四竜帝の大陸【青の大陸編】
「んっ……うきゃあっ!? ハクちゃん、ストップ! は、放してー! 人が来た、人がっ!」

こちらに向かって怒鳴りながら駆けてきたのは、青い髪の美女。
腰まで届くまっすぐな長い髪、同じ色の瞳は長い睫毛に縁取られ、優美な眉に官能的な唇。
まるで牡丹の花のような、艶やかさと気品のある美貌。
20歳前後?
すらりとした肢体はアイボリーのガウン一枚。
大またで動くから、合わせ目から色っぽい足が見え……。
足……あれって、包帯だ。
ガウンから出ている肌は、包帯だらけ。
きっと身体中、包帯を……怪我?

「おちび! しっかりしろ、流されるんじゃねえ! ったく、じじいの気が異常に溢れたから、慌てて溶液から出ててみれば……なんなんだよ、この真っ白砂漠はっ!」

この声、竜帝さん!?
嘘!
私のことおちびって言ってるから、やっぱり竜帝さんなの?
この美女が!?
竜帝さんって、女の子だったの?
でも、声は男の子……あれ?

「え、あ、あのっ! 竜帝さんっ!? これは、そのっ、薬草園とか、消えちゃってるかもでっ! 私が悪いのっ、ごめんなさ……」

私達の側……2メートル位で美女は止り、荒い息で言った。

「はぁっ……つ、謝るな。詳細は確認済みだ。……くっ、痛ってぇな……侵入者で遊んでた、餓鬼共が悪い。あいつ等は俺様の部下だ、つまり今回の事は俺のミスだからな。じじいの力が漏れてこれだけの被害で済んだのは、おちびのおかげだ。礼を言う」

私?
私……。
ハクちゃんにのっかってますね。
いつにもまして、真っ白な……ひいぃっつ?!
ハクちゃんの服、無い!
はだ、はだっ裸じゃありませんか!

真っ裸のハクちゃんの、お腹に乗って。
広くて硬い胸に手を着いてて。
こんな風に直に触った事なんて無くてですねっ、あの、その!

「消えろ<青>。見ての通り、我とりこは忙しい。見物人が居ては奥ゆかしいりこは恥ずかしがって、続けられんのだ」

見物人がどうのっていうか、真昼間の野外でなんて無理ですぅううう!

「むっ?……まさか貴様、りこの艶姿を見る気なのか!?」
「はぁ? じじい、なに言って……」

ハクちゃんは私をひょいっと脇に下ろし。
つかつかと美女に歩み寄り。

「ぎゃあっ!?」

そのままガツンと、乱暴に押し倒した。


< 295 / 807 >

この作品をシェア

pagetop