四竜帝の大陸【青の大陸編】
なんで?

なんで!?

私が居るのに。
ここに居るのに。

私が見てるの、知ってるくせに。
なんで、他の人にキスするの?

「……な……んでよ」

さっきの乱暴だけど切ないキスは、なんなの?
愛してるって。
ハクちゃんは私のものだって、言ったくせに。
そう囁いた唇で。

「ば……かぁ」

他の人に、貴方はキスしてる。
他の人にも、貴方はキスをするのね?

「……ハクちゃんの、馬鹿!」

何が、続きよ!
交尾よ!

誰とでもキスするんでしょ……誰とでも交尾できるんでしょう!?
過去の事は、当たり前だと思った。
ハクちゃんは大人だし、長生きしてるし。
恋人が過去にたくさんいたって、不思議じゃない。
悪役魔王様みたいだけどとんでもなく美形だし。
ちょっと変な人だけど、絶対に女性にもてたはずだもの。
でも、今は。
今は、貴方がキスするのは私だけだと。
私だけだと、思ってたのに!

「交尾の続きは、竜帝さんにさせてもらえばいいのよ!」

ばっちり、見えたんだからね!
ハクちゃんは、竜帝さんに……。

べ、ベロちゅうしてた!!

信じられない、どういう神経しているの!?
私、奥さんなんだよ?
貴方の妻なんだよ?
貴方が私をつがいに選んでくれて、結婚してくれってプロポーズしてくれたんじゃないのっ!

いつだって、りこりこ、我のりこって……。
その私の目の前で。
美女を押し倒して、ディープキスって。
これは、デリカシー無いとかのレベルじゃないよ?

「りこ? 何を言っているのだ。我が<青>などと、交尾するはずなかろう?」

竜帝さんを押し倒したまま、顔を私に向けて首をかしげる貴方。
私の大好きな可愛い動作も、今はちっとも可愛いと思えない。

「……取りあえず、竜帝さんからどいてあげて。嫌がってるし、怪我してるんだから」

見たくなくて、2人から眼をそらして私は言った。




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