四竜帝の大陸【青の大陸編】
「この部屋、お気に召しました? 気に入らないところがあったら、遠慮なく仰って下さいね?」

カイユさんは寝室にあるドレッサーの前に私を座らせてくれ、髪を梳いてくれた。
とても優しく、丁寧に……。

「ここ、素敵です。でも、あの……そのベッドがっ。お、大きくてびっくりしちゃって! あ、お風呂も大きくて凄いなってっ」

言いながら、顔が熱くなる。
だって、だって……思い出してしまったの。
今朝の事を。
朝、起きて。
ハクちゃんがパジャマを脱ぐのを手伝ってあげて、ハクちゃんが小さな手で丁寧に畳んで。
私も着替えよ~って……思ってたら。
思ってたら……ハクちゃんが、ハクちゃんがぁあああ~! 
 
ハクちゃんって、変わってる人だとは思ってた。
でも……あの人、ちょっと変なんだろうか?
ちょっとどころじゃなく。
もしかして、かなり変なんじゃ……。
竜帝さんも、ハクちゃんの感性がどうのって言ってたよね?

今朝、私はハクちゃんのその謎な感性、天然っぷりに翻弄されてしまいまし。
あぁ、それは早朝の出来事。
私はカイユさんに髪を櫛で梳かれながら、脳内で今朝の出来事を再生した……。

「ハクちゃん、こっちをひっぱると……ほら、リボン結びがとけたでしょう?」
「うむ、なるほど」

まだパジャマが上手に脱げない彼に、私はちょっとだけ手を貸してあげた。
パジャマを脱いだ白いおちび竜は、私の大事な旦那様。

「次からは自分で出来るように、“リボン結び”を我は練習するのだ。朝食後にまた教えてくれ、りこ」
「うん、いいよ」

ベットの上でちょこんと正座をして、パジャマを畳むその姿は……見蕩れるほど、可愛らしい。
ハクちゃんはパジャマを丁寧に畳み終わると、何故か私の枕の下へと押し込んだ。
不思議。
なんでかな?
本人がそうしたいみたいだから、別にいいんだけど。

「りこ、その……おはようの接吻を、人型でもして良いか?」

あまりに愛らしい旦那様に見蕩れて、ぽ~っとしていた私に。
手をにぎにぎさせながら、ハクちゃんは金の眼で私を見上げて言った。

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