四竜帝の大陸【青の大陸編】
「え、う……うん」

瞬きより短い時間で人型になったハクちゃんは、座っていた私を囲うように抱き、そのままベットに……。
緩やかな曲線を持つ真珠色の長い髪が、私へと流れ落ちてくる。
私を見上げていた黄金の瞳が、今は私を見下ろして……。

「りこ」

色素の薄い唇が紡ぐのは、私の名前。
うわわぁああ!
なに、この体勢はっ!?
おはようの接吻を、こんな本格的な体勢でするんですか!?

「りこ……おはよう」

そおっと触れて、離れた唇。
小竜の時にしてくれたのと同じ、優しい口付けだった。

「……ぁ」

なのに、私は。
昨日の温室でのキスを思い出してしまい。
 
少し物足りないって、感じてしまった。

「お、おはよう。ハクちゃん」

昨日の、キス……。
温室で、私とハクちゃんは……最後まではできなかったけど……白状しちゃうと、彼に触ってもらって……すごく気持ち良かったなぁ……うう~っ何考えてるのよ、私ったら!
あぁ駄目、眼を開けてられない!

「りこ?」

身体を硬くしてぎゅっと目を閉じた私を、ハクちゃんは少し困ったような、戸惑うような声で呼んだ。

「な、なななっなんでもないの!」
「……?」

だって、貴方の吐息が。
あまりに近くて。

温室での貴方を、思い出してしまうの。

ーーーりこは我が……我が欲しいか?
ーーー我はりこが欲しい。
ーーー我はりこに、貴女に愛されたい。
 
あんな風に言われたら、誰だって……。

「…………ハクちゃん、あの…」
「りこ、我は良い事を思いついたぞ。りこは我がぱじゃまを脱ぐのを‘お手伝い’してくれた。礼に我が、りこのパジャマを脱がして畳んでやろう!」

え……はい?
脱がして、畳む……脱がすって……ぎゃああ!?
し、しなくていいですぅううう!

「そんなお礼いらな……ひゃんっ!」 

ひんやりした手が、指が。

「りこ」
「あっ、んっ!」

いつの間にか裾から進入して、私に触れていた。

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