四竜帝の大陸【青の大陸編】
「へめりょー!!」 
「陛下っ!」
「やめてぇええ~ハクちゃん、やめてー!」

「なんか楽しそうですねぇ。なんかの罰ゲームっすかぁ、陛下」

この声、ダルフェさん!
ダルフェさんはキッチンワゴンを押し、昨日も使っていた籐のバスケットを担いで現れた。
本日も青い騎士さんの格好をしてて、かなり格好良い。
今度、人型のハクちゃんにも着てみて欲しいな。
絶対に似合うと思うんだけど……騎士の服って、軍服っぽいから強面度増しちゃうかな?
あぁ、でも見てみたいっ!

「ちょっと風呂に入ってきたんで遅くなりましたが、飯にしましょうやぁ。陛下ぁ、ご希望通りに肉てんこ盛りっす」

ダルフェさんは目の前の状態に全く動じない。
さすがです!

「旦那~、遊んでないで姫さんに飯を食わせてあげなさいな。今日は夕焼けを見に行くんでしょう? 食わなきゃ体力つきませんって」
 
あ、そうそう。
本日は夕焼け見学の予定があったんだ……ん?
体力って……山にでも登って、夕焼け見るってこと?

「むっ! そうであった」

ハクちゃんは竜帝さんを、そのまま横にぽいっと投げ捨てた。

「ふぎゃっ! この、鬼サドじじいいぃいっ!」

尻餅を付き、赤くなってしまった頬をさする竜帝さんを完全無視し、私に向かってトテトテと駆け寄る。

「りこ! 抱っ……むっ!」

小さな手を私に伸ばし……ささっと、引っ込めた。

「ハクちゃん?」

くるっと方向転換し、またトテトテ走って。
池の淵にぺろ~んと腹ばいになった

ぱしゃぱしゃ。
ばちゃばちゃ。

ハクちゃんは両手を池に入れて、水音をたてて何かしていた。

「じじい? おい、てめえはアライグマかよ?! それは観賞魚だから、食っても不味いぜ?」

竜帝さんは、優美な眉を寄せて言った。
それとは対照的に、ハクちゃんの行動を見たカイユさんはにこにこしながら言う。

「……ああ! そうですわね。さすがヴェルヴァイド様です……さ、これでお拭き下さいませ」

ハクちゃんに歩み寄り、薄いピンクのハンカチを差し出した。
ハクちゃんは身体を起こし、カイユさんからハンカチを受け取ると丁寧に手を拭く。

「我としたことが。<青>の汚らしい唾液の付いた手で、大事なりこに触れてしまうところであった! ああ、なんとおぞましいっ」
「え?」

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