四竜帝の大陸【青の大陸編】
「誰が舎弟だ!? 黙れ低脳竜。 奥方様、先ほどはこの馬鹿共々失礼致しました。俺はオフランと言います。以後、お見知りおきくださいませ」

パスハリス君より頭1つ分背の低い彼は、子供らしからぬ優雅な動作で挨拶してくれた。
柔らかそうな淡い茶の髪がふわりと揺れ、大きな翡翠色の瞳が私の膝に視線を……。

「……」

彼は何も言わなかった。
どうやら「見なかったことにしよう」と考えたらしく、不自然に眼を逸らしたのを私は見逃さなかった。
うう、ハクちゃんったら子供にまで気を使わせるなんてっ。
ごめんね、オフラン君。




昼食に使ったテーブルは長方形で、かなり大きい。
納戸にある椅子を足せば、全員座れるのに。
ダルフェさんがすぐに帰るから必要無いって言い、座ってるのは私だけ……その状況はかなり居心地が悪い。
座った私の右隣にはカイユさんが立ち、その表情はいつもより少し険しい。
ダルフェさんはテーブルの向こうに、3人と共に並んでいた。
お揃いの青い騎士服を着ているせいか、4人並ぶと迫力ある。
皆さん、長身ですし……幼竜の2人だって大きくて。

私って竜族の人達から見たら、子供以下のおちび……だからハクちゃんだけじゃなく、カイユさん達も私に過保護気味なのかな?
それにしても。
ハクちゃんや竜帝さんもそうだったけど。
竜族の人達って髪と眼のカラーが、一人一人全く違う。
クリスマスカラーのダルフェさんに初めて会った時も、かなり驚いたっけ。
セイフォンの人達は、普通の西洋人と変わらなかった。
だから異世界も人類は地球と大差ないんだって、思っていた。
今までの常識で有り得ないダルフェさんの色の組み合わせに、ここは異世界なんだって改めて思って……。
このヒンデリンさんの群青の色も、すごく綺麗。
ついつい視線が……。
そんな私に気づいたヒンデリンさんは髪色に見蕩れてるとは考えなかったらしく、眼が合うとちょっと不思議そうに灰色の眼で私を見返した。

「……?」

そして、微かに首を傾げた。
その仕種がちょっと意外で……可愛い。
彼女の印象は、私が今朝感じたものとずいぶん変わった。
 
さっき。
剣を鞘にしまってからヒンデリンさんが私の側に来て、微かに微笑みながらくれたのは淡い黄色の小花が可愛らしいピンクのリボンでまとめられた花束だった

「緊張して、忘れてました。どうぞ」

そういえば、このお花をずっと左手に持ってましたよね?
実は、内心すごく気になってました。
だって、初めて見る種類のお花だったから。
無数の金平糖で出来たみたいなそれは、すごく可愛いお花だった。
窓から差し込む日光にきらきら反射して、とっても不思議。
もしかして私にくれるのかな~って、期待してました。
こんなずうずうしい女で、すみません。

< 338 / 807 >

この作品をシェア

pagetop