四竜帝の大陸【青の大陸編】
「カイユよ。今回は巧く性交できたので、心配は無用だと言っただろうが。まったく……お前は何故そう、疑り深いのだろうな。我はりこの身体に、噛み跡1つすら付けなかったのだぞ?」

ちょっ!?

「ヴェルヴァイド様には前科があるからです」

カイユさんは、即答した。

「……前科だと?」

額にかかる真珠色の長い髪を鬱陶し気にかき上げていた白い手が、ピクリと止まった。
そんなハクちゃんを綺麗に無視し、カイユさんは私の顔を覗き込んで言った。

「お腹、空きましたでしょう? 今夜は特別な料理ですから、いつもより準備に時間がかかります。紅茶と焼き菓子を用意してありますから、ここでのんびり待ってて下さいね」

カイユさんとハクちゃんの微妙な空気にあせる私に追い討ちをかけるように、ハクちゃんは謎の思考回路発言を開始した。

「カイユ……いいか、良く聞け。りこはお前と茶をするよりも、我との交尾続行を選んでくれたのだぞ! お前にも茶菓子にもプリンにも、我は勝ったのだっ!」
「……は、はあ。そ、そうですか」

カイユさんは自分にかけられたハクちゃんの言葉に、非常に困惑したような表情を浮かべていた。
どちらかというと、困惑を通り越して……呆れの域に到達してそうだった。
そんなことはお構いなしに、御機嫌な魔王様は突っ走って下さり……。

「さあ、りこからもカイユに言ってやるが良い。りこにとって<世界一愛している大好きな、大切な人>である我は、今回はちゃんとりこを気持ち良くさせて、りこは大満足なのだとな」

ひ……ひいぃぃっ!!
な……なに言ってんですか、ハ、ハ、ハクちゃん。やめっ……!

「我はりこの体のことは、既にりこ本人より詳しいのだ。今回摂取した体液からの情報も、とても参考になった……いろいろな意味でな」

大魔王様から次々飛び出す言葉に脳を連打され、私は意識を失いそうに……あぁ、気絶できたら良かったのに。
あのお綺麗な顔に付いている危険な口を、塞いでしまいたい……縫い付けてしまいたいのに、ショックのあまり身体が硬直して動かな~いっ!

「あぁ、我は幸せ者だ。我はりこにとって、初めての男だったのだ。人間の女で26なのにだぞ? うむ、まさに奇跡だな」

26で処女って、こっちの世界でもあんまり無いってこと!?
ってか、ばらすなー!!
顔が引きつるのが、自分でも分かる。
文句を言いたいのに、言葉が……声が出ない。

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