四竜帝の大陸【青の大陸編】
68
竜帝さんを呼んで欲しいとのお願いに、ハクちゃんは……。
「嫌だ」
「え!?」
と言って、そっぽを向いてしまった。
絶句する私をよそに、持っていたスプーンをぎゅっと握って折ってしまう。
ちょっとだけ細めた金の眼で、折れたスプーンを数秒間ジーっと見て……そして、ポイッと放り投げた。
こらっ、お行儀が悪いよ!
「……何故、この場に他の雄が必要なのだ?」
好感度ゼロの冷たい美貌は、相変わらずの無表情。
でも、私に向けられた瞳は……ん、この感じは。
あれれ……こっれて、もしかして拗ねちゃったの?
「おい、カイユよ。我のりこに触りすぎだぞっ、とっとと離さんか。ダルフェ、呆けとらんでカイユを連れて行け。……ここで出産させる気か?」
ハクちゃんの言葉に、ダルフェさんがピクリと反応した。
ゆっくりと立ち上がり、小さな声で言った。
「そうですねぇ、はは……ここじゃぁ、ちょっと無理ですねぇ」
力の抜けたような声。
いつも笑顔が絶えない端正な顔は苦しげに歪められ……私の視線に気づいたダルフェさんは、両手で顔を隠して言った。
「情けないねぇ。みっともねぇ顔してんでしょ、俺? ハニー……カイユ、カイユ」
ダルフェさんはカイユに歩み寄り、私に巻かれた腕をそっと外してカイユさんを抱きしめた。
「カイユ、ごめん……俺、ちっとも気づかなかった。ごめんな……アリーリア」
アリーリア。
カイユさんのつがい名?
ダルフェさんは私の前で、その名前でカイユさんを呼んだことは一度もなかったのに……。
カイユさんの銀色の長い髪を撫でる彼の手は小刻みに震えていて、私はますます不安になった。
「ダルフェ? 何を謝ることがあるの? なんで、貴方が謝るの? おかしな人ね」
カイユさんはダルフェさんの腕の中で、不思議そうに……小さな声でつぶやいた。
そうだよ、赤ちゃんが産まれるってとってもおめでたいことだよね?
なんで、ダルフェさんはこんなに辛そうなの?
「ハクちゃん、とにかく竜帝さんを呼んで来て! ね、お願い……ハク」
ハクちゃんは私を見て……数回、瞬きをした。
な、なに?
私の顔になんかついてるの?
「お願い? りこのお願い……わかった」
顔を寄せ、私の唇に軽いキスをしてから転移した旦那様にほっとしつつ。
ふと、気がついた。
「あ。……ハクちゃん、ガウンを着てるだけだった!」
「嫌だ」
「え!?」
と言って、そっぽを向いてしまった。
絶句する私をよそに、持っていたスプーンをぎゅっと握って折ってしまう。
ちょっとだけ細めた金の眼で、折れたスプーンを数秒間ジーっと見て……そして、ポイッと放り投げた。
こらっ、お行儀が悪いよ!
「……何故、この場に他の雄が必要なのだ?」
好感度ゼロの冷たい美貌は、相変わらずの無表情。
でも、私に向けられた瞳は……ん、この感じは。
あれれ……こっれて、もしかして拗ねちゃったの?
「おい、カイユよ。我のりこに触りすぎだぞっ、とっとと離さんか。ダルフェ、呆けとらんでカイユを連れて行け。……ここで出産させる気か?」
ハクちゃんの言葉に、ダルフェさんがピクリと反応した。
ゆっくりと立ち上がり、小さな声で言った。
「そうですねぇ、はは……ここじゃぁ、ちょっと無理ですねぇ」
力の抜けたような声。
いつも笑顔が絶えない端正な顔は苦しげに歪められ……私の視線に気づいたダルフェさんは、両手で顔を隠して言った。
「情けないねぇ。みっともねぇ顔してんでしょ、俺? ハニー……カイユ、カイユ」
ダルフェさんはカイユに歩み寄り、私に巻かれた腕をそっと外してカイユさんを抱きしめた。
「カイユ、ごめん……俺、ちっとも気づかなかった。ごめんな……アリーリア」
アリーリア。
カイユさんのつがい名?
ダルフェさんは私の前で、その名前でカイユさんを呼んだことは一度もなかったのに……。
カイユさんの銀色の長い髪を撫でる彼の手は小刻みに震えていて、私はますます不安になった。
「ダルフェ? 何を謝ることがあるの? なんで、貴方が謝るの? おかしな人ね」
カイユさんはダルフェさんの腕の中で、不思議そうに……小さな声でつぶやいた。
そうだよ、赤ちゃんが産まれるってとってもおめでたいことだよね?
なんで、ダルフェさんはこんなに辛そうなの?
「ハクちゃん、とにかく竜帝さんを呼んで来て! ね、お願い……ハク」
ハクちゃんは私を見て……数回、瞬きをした。
な、なに?
私の顔になんかついてるの?
「お願い? りこのお願い……わかった」
顔を寄せ、私の唇に軽いキスをしてから転移した旦那様にほっとしつつ。
ふと、気がついた。
「あ。……ハクちゃん、ガウンを着てるだけだった!」