四竜帝の大陸【青の大陸編】
<青>が変態だと指摘する、よくわからん性癖はともかく。
術士としても武人としてもなかなかの逸材であったので、渋る<青>にこの男を買えと我は言った。

<青>の貞操問題など、はっきり言って我はどうでも良いからな。
つがいを得るまで<青>がこの男を情人にしようが奴隷にしようが、我には関係ないことだ。

「相変わらずだな、術士クロムウェル。お前の趣味は我には全く理解できん。これのどこにそんな魅力があるのか、さっぱり分からん。女王? 成長不良でちびの<青>だが、れっきとした雄竜だ。確かに哀れなほどささやかなものしか、こやつには付いとらんがな」

我の言葉に、<青>が暴れだした。
またも顔が赤くなっていた。
りこが顔を染める姿はとても愛らしく、我の繊細な心臓は‘どきどき’してしまうのだが、こやつが赤くなっても我の心臓は‘どきどき’しない。
ふむ。
りこは、我を‘どきどき’させる天才だな!

「ぐぎゃーっ!! な、な、何を言って……てめぇっぶっ殺すぞ、じじい!」

<青>が我を蹴ろうとしたので、右手で両足首を一纏めに掴んだ。
まったく、手間がかかる。

「は、離せぇええ~ヴェル!俺よりちょっとでかいからって、いい気になりやがって! 鍛える、俺様は筋肉だるまになってやる!」

的外れな文句を言う<青>に、クロムウェルが言った。

「やめてください。貴方はそのままでいいんです。それに鍛えたって、肝心な場所は変わりません。で、<監視者>殿は何故そんなことを知っているんです? 男は駄目だと、以前に言っていたと思うのですが……何故です?」

剣呑な視線を隠さず、我に問うてきたので答えてやった。

「<青>を不能にしようかと思ったので、成り行きで確認するに至っただけだ。ふむ……男だけでなく女も、我はりこ以外は全て駄目になった気がするな」
「貴方の下半身事情は、訊いとりません」
「そうか?」
「そうです」

ふむ。
この男、クロムウェルはなかなか面白い。
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