四竜帝の大陸【青の大陸編】
この男は我が竜体だろうと人型だろと、我に向ける<眼>が変わらぬ数少ない人間だ。
そして、こやつは竜帝を……<青>を全く恐れない。
それは生物として異常なことだ。人間という種は、強者である竜を本能的に恐れるものだ。
好意を持とうと、根源にあるものは無くせない。
竜族に恋情を抱く人間も多いが、それは竜族が人型を持つためにおこる【錯覚】に近い現象だ。
竜としてではなく、自分と同じ<人間>として好意を抱く。
脳の表面では竜と認識しているのに、同時に竜であることをその脳内で否定し受け入れていない。
心の奥底では竜族本来の姿……人間共が大蜥蜴と皮肉る竜体には畏怖と恐怖、そして嫌悪感を持つ。
『竜族だろうとかまわない』
竜に愛を囁く人間の使う文句には、竜族という異種への抵抗感がよく表れている。
<青>もそう考え、クロムウェルに暫く竜体のみで接したが……この男は竜体の<青>にも愛を告げ、変わらず欲情した。
つまり。
この男の目には人型も竜体も、<青>という個体として認識されている。
生まれて初めて遭遇した【変態】の扱いに困り果てた<青>に乞われ、これの頭の中を視たが……<青>への恐れが、存在しなかった。
これは少々、面白い。
そう思った。
人間であるりこをつがいにした我にとって、クロムウェルの脳は以前よりも興味深い。
我はりこの頭の中を視れぬ。
視ようと思えば可能だが、それはしてはいけないと強く思う。
何より……怖くて無理だ。
りこは竜族である我を夫として受け入れ、愛してくれている。
知っている、分かってはいるが……りこは人間であり、異界人なのだ。
我の【気】と体液の影響で意識の半分がまどろんだ状態のりこに、我は問うてみた。
ーーりこ、りこよ。我が人型を失っても、夫でいさせてくれるか? 竜体の我とも、こうして交わってくれるか?
自分で聞いておきながら、なんだが。
りこの答えには、さすがに驚いた。
りこは躊躇いなく答えたのだ。
ーーうん。竜体のハクちゃん、好き……大好きだもの。竜のハクとも、したい。竜の姿で、してくれるの?
我に向けられた金の眼は蕩け、潤んで……我はとてつもなく‘どきどき’してしまった。
ーーハクが好き……好きよ、大好き……。
どきどき真っ最中の我に、りこは自分から‘ちゅう’をしてくれた。
竜体の我を、非常に好んでおるのは知っていたが……そこまでとは。
嬉しかった。
嬉しかったが……。
むむっ?
自分で自分に、嫉妬してしまいそうだ。
己の敵(ライバル)は己だ、という言葉を聞いたことがあったが……このことなのだろうか?
恍惚とした笑みを浮かべ我に身体を撫でられるりこを見ていたら、この状態はいつもと逆だなと思い。
軽い気持ちで訊ねたのだが……。
そして、こやつは竜帝を……<青>を全く恐れない。
それは生物として異常なことだ。人間という種は、強者である竜を本能的に恐れるものだ。
好意を持とうと、根源にあるものは無くせない。
竜族に恋情を抱く人間も多いが、それは竜族が人型を持つためにおこる【錯覚】に近い現象だ。
竜としてではなく、自分と同じ<人間>として好意を抱く。
脳の表面では竜と認識しているのに、同時に竜であることをその脳内で否定し受け入れていない。
心の奥底では竜族本来の姿……人間共が大蜥蜴と皮肉る竜体には畏怖と恐怖、そして嫌悪感を持つ。
『竜族だろうとかまわない』
竜に愛を囁く人間の使う文句には、竜族という異種への抵抗感がよく表れている。
<青>もそう考え、クロムウェルに暫く竜体のみで接したが……この男は竜体の<青>にも愛を告げ、変わらず欲情した。
つまり。
この男の目には人型も竜体も、<青>という個体として認識されている。
生まれて初めて遭遇した【変態】の扱いに困り果てた<青>に乞われ、これの頭の中を視たが……<青>への恐れが、存在しなかった。
これは少々、面白い。
そう思った。
人間であるりこをつがいにした我にとって、クロムウェルの脳は以前よりも興味深い。
我はりこの頭の中を視れぬ。
視ようと思えば可能だが、それはしてはいけないと強く思う。
何より……怖くて無理だ。
りこは竜族である我を夫として受け入れ、愛してくれている。
知っている、分かってはいるが……りこは人間であり、異界人なのだ。
我の【気】と体液の影響で意識の半分がまどろんだ状態のりこに、我は問うてみた。
ーーりこ、りこよ。我が人型を失っても、夫でいさせてくれるか? 竜体の我とも、こうして交わってくれるか?
自分で聞いておきながら、なんだが。
りこの答えには、さすがに驚いた。
りこは躊躇いなく答えたのだ。
ーーうん。竜体のハクちゃん、好き……大好きだもの。竜のハクとも、したい。竜の姿で、してくれるの?
我に向けられた金の眼は蕩け、潤んで……我はとてつもなく‘どきどき’してしまった。
ーーハクが好き……好きよ、大好き……。
どきどき真っ最中の我に、りこは自分から‘ちゅう’をしてくれた。
竜体の我を、非常に好んでおるのは知っていたが……そこまでとは。
嬉しかった。
嬉しかったが……。
むむっ?
自分で自分に、嫉妬してしまいそうだ。
己の敵(ライバル)は己だ、という言葉を聞いたことがあったが……このことなのだろうか?
恍惚とした笑みを浮かべ我に身体を撫でられるりこを見ていたら、この状態はいつもと逆だなと思い。
軽い気持ちで訊ねたのだが……。