四竜帝の大陸【青の大陸編】
「おい、くそじじい。夕焼け見るなら、塔の部屋に行けよ。あそこが帝都で一番綺麗に夕焼けが見れるんだって、昔ミルミラが言ってたぜ?」

夕焼け……覚えててくれたんだ。
竜帝さんはなんだかんだ言っても、ハクちゃんに優しいと思う。
セイフォンでの印象は悪がき風だった。
帝都では、ちょっと……かなり彼に対する考えが変わった。
確かに口調は乱暴なままだけど、彼は<悪がき>なんかじゃ無かった。
とても優しい人だった。
それに。
じじい、じじいって言いつつも。
ハクちゃんのことを、とても慕っているようだし。

あ。
そうだ!

「竜帝さん。狩りに行ったハクちゃんの贈り物が頭だけになっちゃったみたいで……でも、ハクちゃんなりに頑張ったと思います! 次こそは、まるごと持って帰ってお肉をお腹いっぱい食べれるように……あれ?」

私は、言葉を止めた。
だって。
竜帝さんの顔がっ女神様の麗しいお顔が!

眼が点。
そう、まさに点。
艶やかな唇が……パカーンと、有り得ないほど開いた。

「りゅ、竜帝さん? 私、何か変な事言いました!?」

やだっ、単語を間違えたかも……むむむっ?
さすが、女神様。
ハイレベルな美人さんは凡人とは違って、こんな表情でも美しい。
微かに震える唇が、妙に色っぽく……。

「……ハクちゃん」

昨日のハクちゃんと竜帝さんのキスシーンを、鮮明に思い出してしまった。
お似合いだったな、美男美女(?)で……。

「りこ?」 
「……ハクちゃんは、見ちゃ駄目」

隣に座って彫像のように動かないハクちゃんに手を伸ばし、両目を手の平で覆った。

「? りこ、どうしたのだ?」
「……内緒」

どうやら。
私もハクちゃんに負けないくらい、焼きもち焼きみたいです。


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