四竜帝の大陸【青の大陸編】
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山盛りの唐揚げをのせたワゴンをガラガラと音を立てて押し……竜帝さんが南棟に現れた。
「よう! 待たせたな。昼飯にしようぜ、おちび」
竜帝さんの執務室から帰ってきて、温室に置かれたベンチにハクちゃんと座って本を読んでいた私に、竜帝さんは唐揚げを1つ口に放り込み……もぐもぐしながら言った。
摘み食いですか、女神様。
きっと食堂からの道中、唐揚げを摘み食いしながら来たに違いない。
唐揚げ……鶏肉かな?
うわ~、一個一個が大きい!
お母さんが作る唐揚げの3倍はありそう。
「なに読んでんだ? なになに……[初めての帝都! お勧めスポット・ベスト10]って、おい。まさか2人で市街観光に出かける気かよ!?」
油のついた手をハンカチで拭きながら、竜帝さんは本とハクちゃんを交互に見た。
「今度、カイユ達と行くんです。あ、でも当分は延期かな?」
カイユさんにはゆっくりしていて欲しい……。
お産後の彼女を帝都観光に連れ回すなんて、絶対に駄目。
赤ちゃん……ジリギエ君、もう産まれたのかな?
お母さん似かな、それともお父さん似?
むふふっ、楽しみ!
あ、お祝いのシフォンケーキ作りの事を竜帝さんに相談しなきゃ。
「<青>よ。昨夜は気づかなかったが、母親その他が同伴では‘でぇと‘の枠から出てしまうのではないのか?」
ハクちゃんは私の膝から本……ガイドブックを取り、表紙を竜帝さんに向けて言う。
「見ろ。この本の表紙も、人間の男女が仲睦まじく南街を散策する様子が印刷されておるぞ? 保護者同伴ではない。ん? お前に訊いても無駄か、未だ情人の1人すらおらんのだし……ふむ。こういったことに詳しいダルフェが居らんのでは、確認しようがないな」
人間向けの帝都観光本。
一昨日の晩御飯前に、ダルフェさんがハクちゃんに貸してくた数冊の中にあったこれ。
ハクちゃんが珍しく一緒に読もうって、言ってくれたんだけど……けどぉ~!
表紙にはらぶらぶな人間のカップルが、あはは・うふふ・べたべた的に……ううっ、ダルフェさんのチョイスにはなんかこう変な共通性がある気がする。
私だったら、この表紙じゃ買わない。
レジに持っていく勇気が無いです!
「よう! 待たせたな。昼飯にしようぜ、おちび」
竜帝さんの執務室から帰ってきて、温室に置かれたベンチにハクちゃんと座って本を読んでいた私に、竜帝さんは唐揚げを1つ口に放り込み……もぐもぐしながら言った。
摘み食いですか、女神様。
きっと食堂からの道中、唐揚げを摘み食いしながら来たに違いない。
唐揚げ……鶏肉かな?
うわ~、一個一個が大きい!
お母さんが作る唐揚げの3倍はありそう。
「なに読んでんだ? なになに……[初めての帝都! お勧めスポット・ベスト10]って、おい。まさか2人で市街観光に出かける気かよ!?」
油のついた手をハンカチで拭きながら、竜帝さんは本とハクちゃんを交互に見た。
「今度、カイユ達と行くんです。あ、でも当分は延期かな?」
カイユさんにはゆっくりしていて欲しい……。
お産後の彼女を帝都観光に連れ回すなんて、絶対に駄目。
赤ちゃん……ジリギエ君、もう産まれたのかな?
お母さん似かな、それともお父さん似?
むふふっ、楽しみ!
あ、お祝いのシフォンケーキ作りの事を竜帝さんに相談しなきゃ。
「<青>よ。昨夜は気づかなかったが、母親その他が同伴では‘でぇと‘の枠から出てしまうのではないのか?」
ハクちゃんは私の膝から本……ガイドブックを取り、表紙を竜帝さんに向けて言う。
「見ろ。この本の表紙も、人間の男女が仲睦まじく南街を散策する様子が印刷されておるぞ? 保護者同伴ではない。ん? お前に訊いても無駄か、未だ情人の1人すらおらんのだし……ふむ。こういったことに詳しいダルフェが居らんのでは、確認しようがないな」
人間向けの帝都観光本。
一昨日の晩御飯前に、ダルフェさんがハクちゃんに貸してくた数冊の中にあったこれ。
ハクちゃんが珍しく一緒に読もうって、言ってくれたんだけど……けどぉ~!
表紙にはらぶらぶな人間のカップルが、あはは・うふふ・べたべた的に……ううっ、ダルフェさんのチョイスにはなんかこう変な共通性がある気がする。
私だったら、この表紙じゃ買わない。
レジに持っていく勇気が無いです!