四竜帝の大陸【青の大陸編】
セシーを伴い、異界の娘と<監視者>は洗面所に移動した。
<監視者>はセシーに念話で何か命じたようだった。先ほど異界の娘が何か言ったので、それが関係してるのだと思うが……。
父とゼイデは立ち上がり、沈痛な顔で私に語りかけた。
『あの娘が<監視者>様の‘つがい‘とは……。なんということだ』
父が私の頭を強く抱きしめた。
震えてますね、父上。
『だが、娘の命は失われず済んだ。彼女は被害者だ。助かって良かった』
『お父様! でも殿下が!』
ゼイデの言葉にミー・メイが声を上げた。
『いいんだよ、ミー・メイ。ゼイデ。父上を頼む』
父の腕に力がこもる。……泣かないで下さい。
ゼイデが無言で父に手刃を落とし、昏睡させて肩に担いだ。
昨夜から仮面が剥がれっぱなしだな、ゼイデは。
『殿下は殺されたりしませんわ』
セシー……戻ってきたセシーが自信満々に言った。
気配なく動くのは戦場だけにしてくれ。
心臓に悪い。
『そんなことがなぜ言える。<監視者>は私を私怨で殺すとっ』
『あのつがいの娘は殿下の死を望んだりするような娘では……。私が見た感じでは心優しい娘に思えましたわ。とにかく、陛下とゼイデ殿は急いで退室を。つがいを得たばかりの雄竜は、自分以外の‘雄’を排除したがります。あの方とて竜。危険ですわ』
セシーは竜族の生態に詳しい。
『竜族の雄はつがいの雌を得ると強い繁殖への欲求がうまれ、他者に攻撃的になり、凶暴性が増します。お急ぎください』
『分かった』
彼女の言うとおりに、ゼイデは行動した。
退室する背にセシーが声をかけた。
『ゼイデ殿! 侍女達に衣装を運ぶように指示してくださいな。時間が無いから急がせて』
『承知した』
眼を疑った。
娘が<監視者>を無造作に放り、扉を閉めたのだ!
小さな白い竜は床に転がり……。
見てはいけないものを、見てしまった気がした。
慌てて跪き頭を下げ‘見てませんでした’を装ってしまった。
ミー・メイはずっとうつむいていて気が付いてないようだった。
<監視者>はよろよろと起き上がり、扉に駆け寄って……前をうろうろしていた。
顔を伏せつつ盗み見てしまう。
変だ。
かなり、おかしい。
これが先ほど私に死刑宣告した竜と同じ竜とは、思えない!
<監視者>はセシーに念話で何か命じたようだった。先ほど異界の娘が何か言ったので、それが関係してるのだと思うが……。
父とゼイデは立ち上がり、沈痛な顔で私に語りかけた。
『あの娘が<監視者>様の‘つがい‘とは……。なんということだ』
父が私の頭を強く抱きしめた。
震えてますね、父上。
『だが、娘の命は失われず済んだ。彼女は被害者だ。助かって良かった』
『お父様! でも殿下が!』
ゼイデの言葉にミー・メイが声を上げた。
『いいんだよ、ミー・メイ。ゼイデ。父上を頼む』
父の腕に力がこもる。……泣かないで下さい。
ゼイデが無言で父に手刃を落とし、昏睡させて肩に担いだ。
昨夜から仮面が剥がれっぱなしだな、ゼイデは。
『殿下は殺されたりしませんわ』
セシー……戻ってきたセシーが自信満々に言った。
気配なく動くのは戦場だけにしてくれ。
心臓に悪い。
『そんなことがなぜ言える。<監視者>は私を私怨で殺すとっ』
『あのつがいの娘は殿下の死を望んだりするような娘では……。私が見た感じでは心優しい娘に思えましたわ。とにかく、陛下とゼイデ殿は急いで退室を。つがいを得たばかりの雄竜は、自分以外の‘雄’を排除したがります。あの方とて竜。危険ですわ』
セシーは竜族の生態に詳しい。
『竜族の雄はつがいの雌を得ると強い繁殖への欲求がうまれ、他者に攻撃的になり、凶暴性が増します。お急ぎください』
『分かった』
彼女の言うとおりに、ゼイデは行動した。
退室する背にセシーが声をかけた。
『ゼイデ殿! 侍女達に衣装を運ぶように指示してくださいな。時間が無いから急がせて』
『承知した』
眼を疑った。
娘が<監視者>を無造作に放り、扉を閉めたのだ!
小さな白い竜は床に転がり……。
見てはいけないものを、見てしまった気がした。
慌てて跪き頭を下げ‘見てませんでした’を装ってしまった。
ミー・メイはずっとうつむいていて気が付いてないようだった。
<監視者>はよろよろと起き上がり、扉に駆け寄って……前をうろうろしていた。
顔を伏せつつ盗み見てしまう。
変だ。
かなり、おかしい。
これが先ほど私に死刑宣告した竜と同じ竜とは、思えない!