四竜帝の大陸【青の大陸編】
う~ん、確かに。
ハクちゃんはセイフォンで、トイレの使い方も知らなかった。
……トイレ事件、なつかしいな。
大陸が違うと和式・洋式みたいに、トイレ文化も違うのかも。

「あ、うん……はい」

これから<伝鏡の間>で開かれる竜帝さん同士の会議は、ハクちゃんの移動について……と、いうより私のことに関しての話し合い。 
この大陸からの移動時期・手段等の問題が山積みなんだと、女神様は苦笑した。
人間である私を安全に、確実に運ぶのはそれほど難しいことじゃなく。
繭に入って籠を使えば、安全に海を越えられる。
でも、それだとハクちゃんが耐えられないらしいのだ。
セイフォンから支店への移動のさい、ハクちゃんは【面会謝絶は3日が限界宣言】をしたのだそうで……。
そうなると、黒の大陸に行くのは最短の海峡経由で赤の大陸に渡り。
赤の大陸から黄の大陸を通って黒の大陸に入るという、とんでもなく長い移動になってしまう。
繭で一気に移動する案はハクちゃん的に無理なので、私の移動には通過する大陸に居る赤と黄の竜帝さんのサポートが必要不可欠になり……。

なんか私って、竜族の皆さんに迷惑ばかりかけてる。
この世界に連れてこられてから、周りに迷惑ばかりかけて。

「このじじいは、お前の顔が3日以上見れなければ狂うんだとよ! すでに狂ってる気がしなくもないが……いい年して我儘ばっか言いやがって。我慢って言葉が、このじじいの脳内には足りてねぇな! あ、そうだ、おちび! 今後、ヴェルにお前の許容範囲を超える変なことをされそうになったら、はっきり嫌だって言うんだ。迷わずきっぱり言うんだぞ!? 俺様はこの大陸から出れねぇから、助けてやれねぇ。……ここを出るまでに、もっと強くなるんだ」

人間の私が……しかも異界人がハクちゃんのつがいになっちゃった事は。
竜族にとって、あまり歓迎できない事だったのかも知れない。
私とたった3日間でも離れるのを拒む、寂しがりやで怖がりなハクを。
数十年で置き去りにする、人間の私なんか……。
赤ちゃんの時からハクちゃんといる竜帝さんは、じじいだとか憎まれ口ばかりだけど。
ハクちゃんを自分にとって‘特別な人’にして、想ってくれているのがよくわかる。
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