四竜帝の大陸【青の大陸編】
「遅っせーぞ、ヴェル! おちびが来るって言ったら、<黄>達はもっとお洒落するとか阿呆なことほざいて引っ込んじまった。すぐ呼び直すから、ちょっと待ててくれ」

ハクちゃんが術式で<伝鏡の間>に連れて行ってくれた。
恥ずかしながら、もちろん抱っこで。
私はセイフォンではちび竜のハクちゃんを、抱っこしまくっていた。
常に抱っこしているか、お膝にのせてるかだった。
他の人が居ようがいまいが、関係なしだった。 
彼に間違った抱っこのTPO(?)を教えてしまったのは、私なわけで……くっすん。
腰に手を当て、鼻息荒く言う女神様はもちろん人型だった。
あ、そうか。
他の竜帝さんだって人型かもしれない。

「はい。竜帝さん、遅くなってごめんなさい」

ハクちゃんだって、人型だし。
かわゆいちび竜さん達が勢揃いは、夢のまた夢……うう、残念。

「いいって。どーせ、そのじじいがなんかごねたんだろう?」

じろりと青い眼が、ハクちゃんを睨んだけれど。
ハクちゃんは全く気にする様子が無く。

「ランズゲルグ。今夜のりこの夕飯には、脂身の少ない肉を使ったものを用意しろ。あと、カカエの卵を使ったものが1品欲しいのだが……我は料理の種類に疎く、よく分からんのだ。ふむ。ダルフェがおらんと、いろいろ不便だな」

と、相変わらずマイペースだった。
ごめんね、ハクちゃん。
晩御飯の話を今、ここでする必要性が私にもちょっと……。

「おちび、ダルフェってすげえなぁ。……あのカイユのつがいになった時も、すげぇ勇気だと思ったけどよ。一ヶ月以上この謎感性の凶悪じじいの面倒みて、五体満足で生き残ってんだもんな~。臨時賞与もんだぜ」

そう言って、女神様はこきこきと首を左右に動かした。


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