四竜帝の大陸【青の大陸編】
灯りの無い暗い場所だとハクちゃんは言ってたけれど、真っ暗って程じゃなかった。
<伝鏡の間>は想像していたよりもずっと狭く……12畳あるかないかだった。
壁には大きな鏡3つ……ほほ~、これが超お高いという大型伝鏡ですか!
幅は2メートル位で、高さは……4メートルはありそう。
不思議なことに、眼をこらして見てもそこには何も映ってはいない。
見た目は鏡なのに……何も映っていないのだ。
ハクちゃんの髪を軽くひっぱりつつ、私は言った。
「ハクちゃん。あの伝鏡に他の竜帝さん達が現れるの? ねえ、これなら私の眼にもなんとか見える暗さだよ? またまた大げさに言ったんでしょう!?」
「否、ここは夜より暗い闇の中だ。ふむ、どうやら少しは効いているようだな」
「え?」
嘘、だって見えてる。
お月様の出てる夜みたいに、見えているのに。
「先ほど、りこの中にある我の気を少々いじった。……長くは持たぬだろうが、我は長居するつもりは無いのでかまわん」
い……いじるって、何!?
さっきって……あ、瞼にキスしてくれた。
そうしたら、瞼や眼がぽわ~んて温かくなって……。
「ハクちゃん、あの……あれ?」
確認したかったけれど、先に部屋に居た竜帝さんの動きが気になってしまい。
ハクちゃんへの質問は後回しになってしまった。
何も映ってない不思議な鏡を、竜帝さんは包帯で包まれた右手で1枚1枚ノックして歩いていた。
温室でも手の平サイズの伝鏡をこんこんってして、カイユさんと喋ってた。
ああやって、相手を呼び出すのかな……あれ?
最後の1枚はノックしなかった?
私の視線に気づいた竜帝さんは、なんとも言えない微妙な顔で言った。
「ああ、これは<黒>のなんだ。爺さん、寝込んじまってて会議には出られないんだってよ。補佐官の話じゃ、なんか強い精神的ショックを受けて寝言で‘ぶ、ぶぶっうぶたぶぶう~’とか魘されてるんだと。ヴェルは爺さんに昨日、会ったんだろう? どんな様子だった?」
そうでした。
ハクちゃんは黒の竜帝さんから話があるって言われて……何のお話だったのかな?
「ベルトジェンガか? 老いのせいか、呂律が回っていなかったな。仕方あるまい、あれはもう次代に変わるほどの歳だ。体調が悪くて当然だろう」
呂律がおかしかったなんて、脳梗塞でも起こしかけてたとか!?
かなりの高齢らしいから、容態が気になる……大丈夫かなぁ、黒のお爺さん。
「ま、そうだけどよ~。ぶぶなんとかって、何なんだろうな?」
竜帝さんが首を傾げて言った。
「さあな」
ハクちゃんも、少し首を傾げた。
ハクちゃんと竜帝さん。
2人の動作が似ていて、なんだかとっても微笑ましかった。
<伝鏡の間>は想像していたよりもずっと狭く……12畳あるかないかだった。
壁には大きな鏡3つ……ほほ~、これが超お高いという大型伝鏡ですか!
幅は2メートル位で、高さは……4メートルはありそう。
不思議なことに、眼をこらして見てもそこには何も映ってはいない。
見た目は鏡なのに……何も映っていないのだ。
ハクちゃんの髪を軽くひっぱりつつ、私は言った。
「ハクちゃん。あの伝鏡に他の竜帝さん達が現れるの? ねえ、これなら私の眼にもなんとか見える暗さだよ? またまた大げさに言ったんでしょう!?」
「否、ここは夜より暗い闇の中だ。ふむ、どうやら少しは効いているようだな」
「え?」
嘘、だって見えてる。
お月様の出てる夜みたいに、見えているのに。
「先ほど、りこの中にある我の気を少々いじった。……長くは持たぬだろうが、我は長居するつもりは無いのでかまわん」
い……いじるって、何!?
さっきって……あ、瞼にキスしてくれた。
そうしたら、瞼や眼がぽわ~んて温かくなって……。
「ハクちゃん、あの……あれ?」
確認したかったけれど、先に部屋に居た竜帝さんの動きが気になってしまい。
ハクちゃんへの質問は後回しになってしまった。
何も映ってない不思議な鏡を、竜帝さんは包帯で包まれた右手で1枚1枚ノックして歩いていた。
温室でも手の平サイズの伝鏡をこんこんってして、カイユさんと喋ってた。
ああやって、相手を呼び出すのかな……あれ?
最後の1枚はノックしなかった?
私の視線に気づいた竜帝さんは、なんとも言えない微妙な顔で言った。
「ああ、これは<黒>のなんだ。爺さん、寝込んじまってて会議には出られないんだってよ。補佐官の話じゃ、なんか強い精神的ショックを受けて寝言で‘ぶ、ぶぶっうぶたぶぶう~’とか魘されてるんだと。ヴェルは爺さんに昨日、会ったんだろう? どんな様子だった?」
そうでした。
ハクちゃんは黒の竜帝さんから話があるって言われて……何のお話だったのかな?
「ベルトジェンガか? 老いのせいか、呂律が回っていなかったな。仕方あるまい、あれはもう次代に変わるほどの歳だ。体調が悪くて当然だろう」
呂律がおかしかったなんて、脳梗塞でも起こしかけてたとか!?
かなりの高齢らしいから、容態が気になる……大丈夫かなぁ、黒のお爺さん。
「ま、そうだけどよ~。ぶぶなんとかって、何なんだろうな?」
竜帝さんが首を傾げて言った。
「さあな」
ハクちゃんも、少し首を傾げた。
ハクちゃんと竜帝さん。
2人の動作が似ていて、なんだかとっても微笑ましかった。