四竜帝の大陸【青の大陸編】
まず最初に伝鏡に現れたのは、黄色い竜だった。

「お待たせ~! へえ~貴女がイドイドのつがい!? 異界人って、見た目はまるっきり人間なんだ~、つまんな~い。どう? 私って可愛いでしょう!? 私のお城に遊びに来てくれるなら、特別に抱っこさせてあげてもいいわっ! きゃはははっ、私って最高にかっわい~いっ! 光栄に思いなさいよ、異界人」
「……っ!?」

黄色…レモンのように、鮮やかなビタミンカラー。
頭部に淡いピンクのリボン。
小さな身体は白いレースで飾られたリボンと同じピンクのドレス。
ハクちゃんや女神様と同じ、小さな竜。
予想通り、私の目は釘付けです。
ですが!
それは可愛いからじゃなくっ。

「きゃはははっ! イドイドなんて、しょぼしょぼしおしおなお爺ちゃんでしょう? 私は若いからピチピチで抱き心地も最高よ?」

確かに見た目も凄かった。
でも、それ以上に強烈な発言が炸裂したから。

「イ……イドイド?」

イドイドって誰?
しょぼしょぼしおしおなおじ……お爺ちゃん……この場にいるお爺ちゃんっていったら、まさかっ!?
イドイドって、ハクちゃんのこと!?
しょぼっ……失礼なっ、竜体のハクちゃんだってピチピチパンパン(?)です!

「リィリィちゃんは、きっとかわゆ~い私の虜になるわね。きゃははっ、そうなったらイドイドは……きゃあはははぁ~っ! 想像するだけで、笑えるー! きゃはははははぁ! うける~! きゃーはっははははぁ」

なっ……なんなの、このド派手衣装のレモン竜帝は!?
ハクちゃんに喧嘩売ってるの?
しかも、この妙に甲高くてイラッとしてしまう笑い方……あんたは○家ぱー○か!?
リィリィ……トリィのリィ?
じゃあ、イドイドはヴェルヴァイドのイド!?

「おい! <黄>、うるせぇ黙れ!」

女神様がレモン竜の映っている伝鏡を、バンって右手で叩いた。
怒ってる……竜帝さん、怒ってる。
ハクちゃんにぷりぷりしてる時とは、ぜんぜん違うもの。
竜帝さんは、怒ってる。
竜の生態を熟知しているはずの<竜帝>が、蜜月期の雄竜であるハクちゃんにあんなこと言うべきじゃない。
私だって、そう思う。

「なによ<青>! あんたはいっつもそうやって、良い子ちゃんぶってイドイドとべったりで……。だいたい、あんたは生まれるのが早すぎなのよ! あんたが私のとこからイドイドを、あっと言う間に持っていっちゃったんじゃない! ……私だってまだ、幼竜だったのに! あんたなんか、あんたなんかっ」

え?
このレモン色の竜帝さんは……。

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