四竜帝の大陸【青の大陸編】
「ッ!?」

ハクちゃんのしっぽびんたを顔面にくらって、竜帝さんがよろめいた。

「ちょっ……こら、ハクちゃん!」

ふわふわ飛びながら短い足をあげたハクちゃんを、私は慌てて捕獲した。
さすが竜帝さん。
ハクちゃんと赤ちゃんの頃からお付き合いしてるだけあって、お見通しですね。
しっぽびんたをして、さらに蹴ろうとするなんてぇ~!
あぁ、私のメルヘン世界が台無し!
メルヘンからバイオレンス!?

「行かない、行かないから! ほら。かぼちゃランタンを仕上げよう! 晩御飯を食べ終わったら、かぼちゃランタンに火をつけようね? ランタンの明かりで、ゆっくりとお茶するの……素敵でしょう?」

私に抱っこされたハクちゃんは、金の眼をぱちぱちと瞬かせ。

「なるほど。それは……‘素敵’だな」

かぼちゃの付いた両手をにぎにぎさせて、言った。




夕食後。
ハーブティーとお菓子を準備して、温室に厚手のマットを敷いて……。
こうして床に座ると、なんか落ち着く。
ソファーよりこっちの方が、私的にはまったり出来る。
ハクちゃんと並んで座り、ジャック・オー・ランタンの鑑賞会を開催した。
今夜は満月。
月明かりで、ランタンをつけなくても結構明るかった。
かぼちゃの中に立てた蝋燭に、竜帝さんが用意してくれたマッチで火をつけてみる。
マッチは万国共通(?)なのか、私の知ってるものと変わらなかった。

「わあっ、いい感じだね」

お店で売ってるような完璧なジャック・オー・ランタンは、ハクちゃん作。
左右の目が離れてる上に、いびつで……涎流してるみたいな口をしてるのが私の作品。
かぼちゃへの下書きの段階で、変な顔になっていたんだけど。
切り取る時に微調整してなんて考えていたら、ハクちゃんはあっという間に下書き通りに綺麗に切ってくれて……。

こうして蝋燭のやわらかな炎を灯すと、私のかぼちゃさんだってなかなか素敵だと思う。
まあ、ちょっと不気味だけど。
ハロウィンなんだから、不気味さも必要よ!
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