四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクちゃんは私の膝から顔を上げ、私を見上げながら言った。
 
「つまり……我はりこにとって‘かわゆい’と‘好き’の塊ということか? 我は竜体も人型も‘かわゆい’のだな? 鱗も髪も指先まで、外見も内面も全部……全てりこの好みに合うということだな?」

 う~ん。
 間違ってはないけれど。
 まあ、そう言われればそうなのかなぁ~。
 嫌いなところって、特にないし。
 奇天烈で謎の思考回路も困ることはあるけれど、嫌いっていうのとは違うしな~。

「我は竜体も人型もかわゆい。うむ、それならば良いのだ。腹が‘ぽっこり‘しとらん我でも、りこはかわゆいと思ってくれているのが分かり、安心した」

 そう言って。
 またまた膝にぺたりと顔をつけるハクちゃんに、私は言った。

「で、でもねハクちゃん! さすがに……奥さんの前とはいえ、いきなりの素っ裸はどうかと思うよ? ちょっと、まだ、その……困っちゃうよ」

 やっぱり、親しき仲にも礼儀あり。
 て、いうか。
 眼のやり場に困るというか、まだ免疫がちょっと足りてないというかですねっ!
 せめて、一言いってくださいませ。

「何故だ? りこは‘何も着てなくたって、ハクちゃんはかわゆい’と医務室で言っておったぞ?……くっ」

「なっ!?」

 うじうじモードから脱した旦那様は金の眼を細め、微かに笑いながら言った。
 最近、こうして少し笑ってくれるのは嬉しい変化だけれど。
 
「くっ、くく……顔、真っ赤だな」

 完全復活した魔王様は仰った。

「とても……とても‘かわゆい’な、我のりこは」

 ぶはっ!?
 またまたそんなことを~!

「私はかわゆくなんかないですっ! どうせアダの実みたいなア*モちゃんです! 笑わないでよ、ハクちゃんの馬鹿」

 私の言葉に、魔王様の片眉が微かに動いた。

「ア*モちゃん?……りこ、少々確認したい事があるのだが」

 その後。
 なんとか誤魔化そうと頑張る私に、魔王様による誘導尋問が行われ。

 がっくりとうなだれる私と対照的に。

 なんか妙~に、ご機嫌になったハクちゃんだった。




< 448 / 807 >

この作品をシェア

pagetop