四竜帝の大陸【青の大陸編】
『確かに我は人間の生活には疎い。興味が無かったからな』

ハクちゃんがふわりと飛んで、私に並んだ。
金の眼がセシーさんと私の手を見下ろした。
音を立てないホバリング(?)で……。
うぅ、私ったら瞼がぴくぴくしてきちゃった。
なんか、身体が変……。

『暫くはお前の策に付き合っても良い。りこをこの世界に馴染ませる為にもな。だが……』

ハクちゃんが指を一本軽くはじいた。
同時に……爆音。
爆音?
え!

『我のりこに触れたうえに<魅了>しようとしたな? この痴れ者が』

一瞬で身体がもどり、意識もクリアーになった。
でも、でも!
ガス爆発でも起きたの? 
部屋の中がめちゃくちゃっ!
瓦礫の山、まさにそれ!
天井が無いっ!
青いお空が丸見え……って、そんなことよりセシーさんだ!

「た、大変! セシーさん、セシーさん!」

私は瓦礫を見回した。
いた!
うそ……正面の壁にめり込んで、セシーさんがっ!
駆け寄りたいのに足が動かない。
膝が震えて……立ってるのがやっと。

「ハクちゃん、ハクちゃん! どうしよう、セシーさんが」
「この女はそんなに軟ではない。わざと受けたな。我が手加減するのはお見通しか」

な……手加減? 
今のガス爆発(?)はハクちゃんの仕業なの?

『うふふ……』

セ、セシーさん?
ぎゃあ!?
自力で壁から手足を引き抜き、すたすた歩いてる!
露出の多いドレスだったのに、肌には傷1つ無い。
しかもそのドレスにも、綻びひとつない。
な、なんなの!? 
セシーさんって、サイボーグ?

『あらあら。御眼がまん丸になって……。驚いたでしょう、御かわいそうに』

扇子で口元を隠して優雅に微笑む姿に安心した。
サイボーグだろうとターミネーターだろうと、無事でよかった!

「ハクちゃん、なんてことすんのよ! セシーさんは無事だったけど、部屋が壊滅状態だよ」
「我は悪くない。全く、悪くないぞ! この女が……」
「理由はあったって、こんなのダメ! 壊したもの、弁償請求されたら払えないよ!」

うわっ、大ダメージだよ!
借金持ちに転落とは!
総額はどれくらいになっちゃうのかな!?
ダルド君、申し訳ないけどお金貸してぇええ~!
 
  
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