四竜帝の大陸【青の大陸編】
『この部屋はもう使えませんから、変えましょう。そうですわ! 離宮に移って下さいな、ヴェルヴァイド様』
『最初からそのつもりだったのだろう、‘魔女‘。本当に嫌な女だ。先代の‘魔女‘は鬱陶しい存在だったが実害は無かった。だがお前は違う。我にとって邪魔だな』
セシーさんは何事も無かったように、ハクちゃんと念話している。
彼女はサイボーグではなく、武人なんだそうだ。
この世界で戦に出る人間は一般人よりかなり強く……頑丈なんだって。
あれで怪我無しなんて、頑丈にも程がある!
生まれ持った武人の才能と鍛錬の成果で、強くなるらしい。
武人で武将であるセシーさんのドレスの素材は、特注品で蜥蜴蝶っていう貴重な生き物の翼の皮で出来てるそうだ。
一般的にはドレスじゃなく軍服とかに仕様するもので、普通の刃物は切れない素材。
竜族の仕立て屋さんしか作れないドレスだって、セシーさんが教えてくれた(ハクちゃんに通訳してもらった)。
「ね、セシーさんは何だって? 弁償の件は?」
セシーさんが無事だった理由は教えてもらったけど。
部屋を壊したことについては、どうしたらいいの?
「場所を変える。離宮まで、りこが歩くには少し遠い。術式を使う」
ちょっと。
私の質問は?
「部屋を壊したんだよ。ハクちゃんは! もうちょっと気にしようよ」
「確かに壊れた。だが過失はあちらにある。あの女も過失を認識している。りこが心配している弁償責任は発生しない」
は?
「過失は我のりこに我の許可無く触れたことだ」
はぁ?
「着替え等を手伝う侍女には必要なことだから許した。だが、あの女は確信犯だ」
確信犯って……。
「あの女は我がりこの皮膚に直に触れられぬのを見抜いて、嫌がらせを兼ねてりこの手に触れたのだ。まったく忌々しい」
へっ?
「我はあの女を殺さなかった。傷もつけなかった。りこがあの女を気に入ってるからだ。消してしまいたいが、我慢した。あれが死んだりしたらりこが泣くと思ったからだ」
「ハクちゃん……」
うう、いい子です。
優しいんだよね……。
ちょっとずれてるけど。
私以外にもその気づかいを使ってくれると、お母さん(?)は助かるんだけどなぁ。
借金が出来なかったことには、ホッとした。
今後はハクちゃんが物を壊したりしないように、私が気をくばらなきゃ。
『最初からそのつもりだったのだろう、‘魔女‘。本当に嫌な女だ。先代の‘魔女‘は鬱陶しい存在だったが実害は無かった。だがお前は違う。我にとって邪魔だな』
セシーさんは何事も無かったように、ハクちゃんと念話している。
彼女はサイボーグではなく、武人なんだそうだ。
この世界で戦に出る人間は一般人よりかなり強く……頑丈なんだって。
あれで怪我無しなんて、頑丈にも程がある!
生まれ持った武人の才能と鍛錬の成果で、強くなるらしい。
武人で武将であるセシーさんのドレスの素材は、特注品で蜥蜴蝶っていう貴重な生き物の翼の皮で出来てるそうだ。
一般的にはドレスじゃなく軍服とかに仕様するもので、普通の刃物は切れない素材。
竜族の仕立て屋さんしか作れないドレスだって、セシーさんが教えてくれた(ハクちゃんに通訳してもらった)。
「ね、セシーさんは何だって? 弁償の件は?」
セシーさんが無事だった理由は教えてもらったけど。
部屋を壊したことについては、どうしたらいいの?
「場所を変える。離宮まで、りこが歩くには少し遠い。術式を使う」
ちょっと。
私の質問は?
「部屋を壊したんだよ。ハクちゃんは! もうちょっと気にしようよ」
「確かに壊れた。だが過失はあちらにある。あの女も過失を認識している。りこが心配している弁償責任は発生しない」
は?
「過失は我のりこに我の許可無く触れたことだ」
はぁ?
「着替え等を手伝う侍女には必要なことだから許した。だが、あの女は確信犯だ」
確信犯って……。
「あの女は我がりこの皮膚に直に触れられぬのを見抜いて、嫌がらせを兼ねてりこの手に触れたのだ。まったく忌々しい」
へっ?
「我はあの女を殺さなかった。傷もつけなかった。りこがあの女を気に入ってるからだ。消してしまいたいが、我慢した。あれが死んだりしたらりこが泣くと思ったからだ」
「ハクちゃん……」
うう、いい子です。
優しいんだよね……。
ちょっとずれてるけど。
私以外にもその気づかいを使ってくれると、お母さん(?)は助かるんだけどなぁ。
借金が出来なかったことには、ホッとした。
今後はハクちゃんが物を壊したりしないように、私が気をくばらなきゃ。