四竜帝の大陸【青の大陸編】
風呂から出てきたりこは、机の上に置かれた四角い玩具を見て眼を輝かせた。
念話で<青>が来ていることを告げてあったので、きちんと身支度をして現れた。
「ハクちゃん、お待たせ! 竜帝さん、こんにちは。……ん? もう、こんばんはかな?」
りこは成人した女だというのに他の者の眼が無いと、幼女のような行いをするのだ。
風呂上りの身体にタオルを巻きつけただけというとんでもない格好で、室内を歩き回ったり飲み物を飲んだりする時がある。
下着姿で柔軟体操を始めることさえあるのだ。
その行動をセイフォンで初めて目の当たりにした時、我は強い衝撃を受けた。
同じ人間の女でも、身体の構造が同じでも。
異界人であるりこの生態は、我にとって謎と不思議に満ちていた。
この我を驚愕させるとは。
りこ、恐るべし。
寝台の使い方も、りこは変わっていた。
ーーハクちゃん、私は大丈夫だからもっと強くしてっ……あいたたたぁ!
りこは寝台で体操をする。
多くの女といろいろな寝台を使った我だが、このような使用方法は初めて知った。
股を限界まで開いて座ったりこの背を、請われてさらに押しながら……妙に感慨深く、異界人の生態はなんと奇異なものかと……昨夜もそう思った我だった。
「ね、ちゃんとした格好してきたでしょ? 念話で何度も確認しなくたって、大丈夫だよ。私、26だよ? 言われなくたって、人前に下着で出てくるなんてしないよ!」
りこは足元に駆け寄った我を抱き上げて、我の右頬を指でつつきながら言った。
りこ。
我の知るこの世界の<大人の女>と、異界人の<大人の女>であるりこは少々違うのでな。
つい、いらぬ心配をしてしまう傾向が……言わんほうが良さそうなので、我はそれを口にはできんのだが。
「竜帝さん、今日はお茶に行かなくてごめんなさい。え~っと、そのっ! 昨夜は試験勉強で寝るの遅かったから、お昼寝してしまいまして……」
まあ、嘘ではないな。
りこは昼寝もした。
「いいって。俺も忙しくて茶をする余裕が無かったしな。ほら、おちび! これ異界の物だろう? 前に買ったんだ、けっこうな値段したけど面白そうだったからさ」
菓子と共に<青>が持ってきた物は、異界の玩具。
向かいのソファーに座ったりこに<青>が玩具を放った。
りこは両手で受け取り、顔を綻ばせた。
「うわぁっ、懐かしい~! これ、お父さんが持ってた……なんて名前だっけ、んーっ!? あれ? ここまででかかってるのに、名前が出てこない。え~っと」
ガチャガチャと音を立て、上下左右にマスを動かしながら。
りこは手の中の玩具から眼を離さず言った。
視線が、全く動かない。
膝に座っている我が、そっとりこの右袖を掴んだのにも気づかない。
瞬きすらしていなかった。
りこの眼には玩具を通し、他の何かが見えているのかもしれない。
念話で<青>が来ていることを告げてあったので、きちんと身支度をして現れた。
「ハクちゃん、お待たせ! 竜帝さん、こんにちは。……ん? もう、こんばんはかな?」
りこは成人した女だというのに他の者の眼が無いと、幼女のような行いをするのだ。
風呂上りの身体にタオルを巻きつけただけというとんでもない格好で、室内を歩き回ったり飲み物を飲んだりする時がある。
下着姿で柔軟体操を始めることさえあるのだ。
その行動をセイフォンで初めて目の当たりにした時、我は強い衝撃を受けた。
同じ人間の女でも、身体の構造が同じでも。
異界人であるりこの生態は、我にとって謎と不思議に満ちていた。
この我を驚愕させるとは。
りこ、恐るべし。
寝台の使い方も、りこは変わっていた。
ーーハクちゃん、私は大丈夫だからもっと強くしてっ……あいたたたぁ!
りこは寝台で体操をする。
多くの女といろいろな寝台を使った我だが、このような使用方法は初めて知った。
股を限界まで開いて座ったりこの背を、請われてさらに押しながら……妙に感慨深く、異界人の生態はなんと奇異なものかと……昨夜もそう思った我だった。
「ね、ちゃんとした格好してきたでしょ? 念話で何度も確認しなくたって、大丈夫だよ。私、26だよ? 言われなくたって、人前に下着で出てくるなんてしないよ!」
りこは足元に駆け寄った我を抱き上げて、我の右頬を指でつつきながら言った。
りこ。
我の知るこの世界の<大人の女>と、異界人の<大人の女>であるりこは少々違うのでな。
つい、いらぬ心配をしてしまう傾向が……言わんほうが良さそうなので、我はそれを口にはできんのだが。
「竜帝さん、今日はお茶に行かなくてごめんなさい。え~っと、そのっ! 昨夜は試験勉強で寝るの遅かったから、お昼寝してしまいまして……」
まあ、嘘ではないな。
りこは昼寝もした。
「いいって。俺も忙しくて茶をする余裕が無かったしな。ほら、おちび! これ異界の物だろう? 前に買ったんだ、けっこうな値段したけど面白そうだったからさ」
菓子と共に<青>が持ってきた物は、異界の玩具。
向かいのソファーに座ったりこに<青>が玩具を放った。
りこは両手で受け取り、顔を綻ばせた。
「うわぁっ、懐かしい~! これ、お父さんが持ってた……なんて名前だっけ、んーっ!? あれ? ここまででかかってるのに、名前が出てこない。え~っと」
ガチャガチャと音を立て、上下左右にマスを動かしながら。
りこは手の中の玩具から眼を離さず言った。
視線が、全く動かない。
膝に座っている我が、そっとりこの右袖を掴んだのにも気づかない。
瞬きすらしていなかった。
りこの眼には玩具を通し、他の何かが見えているのかもしれない。