四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクちゃんが何かした?

「私、トリィ様はもうご存知なのかと。だから私……あぁ、なんてこと!? ジリギエをその腕に抱いて、母になれると夢をみさせて……後で……トリィ様がっ、この子が妻として女としてどんなに辛いかっ!」

カイユさん……何の話しているの?

「ヴェルヴァイド様、なぜなんです!?」

どうしてハクちゃんを怒るの?

「人と竜の間にはっ……なぜ言って……教えてさしあげなかったのですかっ!? なぜ伝えなかったのですか! まさか……人間であるこの子に、蜜月期の雄として交尾を要求したのですか!? 私は蜜月期は繁殖期間だとこの子に教えましたっ……子孫を残す為の期間であると……雄は子を得る為に雌を強く欲するのだと……」

人と竜。

それって。

私とハクちゃんの事だよね?

「つがいである貴方が……この子の夫である貴方が言うべきことだと思ったからっ! だから、だから私はあえて口にしなかったのに! 貴方がこんなにも酷い仕打ちをこの子になさるのならば、私が最初から全て……‘全て’を話すべきでしたっ! 子供が出来ないことも含めて全部っ……!」

赤ちゃん。
ハクちゃんの子供。

「カ……イユ?」

コドモガデキナイ?

「カイユ……な、なに言ってるの? 私、カイユの言ってることの意味が……あ、あれ? 聞き間違い……」

そうだよね?
違う、そんなはずないもの。

「あ……カ……カイユ、カイユ! ハクちゃんを怒らないで! ……いつだって、すごく気をつけてしてくれてるの。私は大丈夫だから安心して……あ……そうだ、カイユ! 私、生理がきてないの。ちょっと早いけど……支店で妊娠したのかもしれないし! お医者様を呼んで、調べてみたいの。まだはっきり分からない状態かもしれないけどっ、一応……」

私の言葉に、カイユさんは水色の眼を見開いた。
晴れ渡った冬の空に、私の顔が映っていた。

あ。

変な顔。
何、これ……口元が歪んでる。
ああ、今の私はなんてひどい顔してるんだろう。

こんな顔、したらだめ。
ハクちゃんが心配しちゃう。
笑え、私。
笑いなさい、りこ!

「……ありえませんわ」

なんで?
なんで否定するの?

そんなことカイユに……【母様】に言われたら、笑えなくなっちゃうのに。

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