四竜帝の大陸【青の大陸編】
78
ハク。
貴方は竜で、私は人間。
「う……そ……」
子供が出来ない?
なによ、それ!?
だめ、そんなのだめよ。
貴方に子供を遺してあげなきゃなのに。
私が貴方にしてあげられる、たった一つの……。
「ハ……ハクちゃん、ハク、ハク! ねえ、体液で身体のことがいろいろ分かるって前に言ってたよね!? わ……私っ、もしかして妊し……」
私、貴方の子供が欲しい。
「りこの体液に妊娠の兆候などない」
ハクちゃんは持っていた外套を無造作に床へ放り投げた。
いつもはお行儀が悪いよと注意する私だけれど、今はそれどころじゃなかった。
子供。
ハクと私の赤ちゃんのこと。
私は家族を失った。
でも、この世界で新しい家族を作れる……家庭を持って、家族を作る。
そう考えていた。
私とハクと子供達。
ハクの子供なら女の子でも男の子でもとってもかわいくて、美人さんにきまってる。
何人だって……ハクが欲しいなら何人だって、頑張って産んでみせるって考えていた。
子供達に囲まれた賑やかで楽しい毎日が……幸せな日々が待っている。
そう思っていた。
思い込んでいた。
「で、でも! わ、私は異世界人なのよっ!? この世界の人間じゃないんだから、可能性があると思う! 私だったら妊娠出来るかもしれないっ……ね、そうでしょうハクちゃん?」
時間がないの。
私は人間だから。
人間の私が、竜族の貴方と一緒に過ごせる時間は何年?
50年?
60年?
それとも、もっと……短いの?
「諦めないで、2人で頑張ろう!? 何かいい方法が見つかるかもしれないし……すぐには無理かもしれないけれど、いつかは貴方の赤ちゃんがっ!」
貴方にとって。
きっと、それはとても短い時間だから。
「人間が竜の子を産む【方法】など……存在せん」
ハクちゃんは床に座り込んでしまった私を見下ろしながら、顔に流れ落ちる長い前髪を鬱陶し気に左手でかき上げた。
「人間と竜は、種としてかけ離れすぎているのだから」
ハクちゃん、なんで?
なんで、なんで……そんなこと言うのよ。
一緒に頑張るって、言ってくれないの?
カイユさんと同じように、夫である貴方まで……可能性を否定するの?
「我にはりこに、我の子を産ませることはできん」
いつも無表情な貴方だけれど。
こんな時まで、そのままなの?
ちっとも辛そうじゃない、悲しそうじゃない。
なんで貴方はそんなに冷静でいられるの!?
私を愛してるって言ってたじゃない!
私に自分の子供を産んで欲しいって思わないの!?
貴方は竜で、私は人間。
「う……そ……」
子供が出来ない?
なによ、それ!?
だめ、そんなのだめよ。
貴方に子供を遺してあげなきゃなのに。
私が貴方にしてあげられる、たった一つの……。
「ハ……ハクちゃん、ハク、ハク! ねえ、体液で身体のことがいろいろ分かるって前に言ってたよね!? わ……私っ、もしかして妊し……」
私、貴方の子供が欲しい。
「りこの体液に妊娠の兆候などない」
ハクちゃんは持っていた外套を無造作に床へ放り投げた。
いつもはお行儀が悪いよと注意する私だけれど、今はそれどころじゃなかった。
子供。
ハクと私の赤ちゃんのこと。
私は家族を失った。
でも、この世界で新しい家族を作れる……家庭を持って、家族を作る。
そう考えていた。
私とハクと子供達。
ハクの子供なら女の子でも男の子でもとってもかわいくて、美人さんにきまってる。
何人だって……ハクが欲しいなら何人だって、頑張って産んでみせるって考えていた。
子供達に囲まれた賑やかで楽しい毎日が……幸せな日々が待っている。
そう思っていた。
思い込んでいた。
「で、でも! わ、私は異世界人なのよっ!? この世界の人間じゃないんだから、可能性があると思う! 私だったら妊娠出来るかもしれないっ……ね、そうでしょうハクちゃん?」
時間がないの。
私は人間だから。
人間の私が、竜族の貴方と一緒に過ごせる時間は何年?
50年?
60年?
それとも、もっと……短いの?
「諦めないで、2人で頑張ろう!? 何かいい方法が見つかるかもしれないし……すぐには無理かもしれないけれど、いつかは貴方の赤ちゃんがっ!」
貴方にとって。
きっと、それはとても短い時間だから。
「人間が竜の子を産む【方法】など……存在せん」
ハクちゃんは床に座り込んでしまった私を見下ろしながら、顔に流れ落ちる長い前髪を鬱陶し気に左手でかき上げた。
「人間と竜は、種としてかけ離れすぎているのだから」
ハクちゃん、なんで?
なんで、なんで……そんなこと言うのよ。
一緒に頑張るって、言ってくれないの?
カイユさんと同じように、夫である貴方まで……可能性を否定するの?
「我にはりこに、我の子を産ませることはできん」
いつも無表情な貴方だけれど。
こんな時まで、そのままなの?
ちっとも辛そうじゃない、悲しそうじゃない。
なんで貴方はそんなに冷静でいられるの!?
私を愛してるって言ってたじゃない!
私に自分の子供を産んで欲しいって思わないの!?