四竜帝の大陸【青の大陸編】
私と貴方に、子供出来ないなんて……蜜月期は、子孫を残すためのものなんでしょう?
貴方は蜜月期だから、子供がすごく欲しいから……だから私を……私とっ……。
「我がりこを孕ませる事は無い。何度身体を繋げても、どんなに深く交わろうとも」
子供がいれば。
「子はできん」
私がいなくなった後。
「や……やめてよ。なんで貴方までっ……!」
子供は私が貴方を愛したと……貴方が‘りこ’を愛してくれた証になるって思ってた。
りことハクが、愛し合ってたと。
「りこ、りこよ。何故、そのような顔をする?」
子供がいれば、その子がまた命を繋いで……。
そうすれば。
長い時間を生きる貴方が私のことを、忘れたりしない……忘れることができないって。
遺された血が、ずっと貴方を私に……。
「泣くな、りこ。そのように泣かないでくれ、悲しまないでくれ。我がそばにいるだろう? 子などいなくとも、我がずっとりこといる。りこには我が……」
「嫌!」
ハクは長身を屈め、私を覗き込むようにして真珠色の爪を持つ指先をゆっくりと私の顔へと……その右手を、私は両手で払い落とした。
音がするほど強く払っていた。
「私に触らないで! 私は子供が欲しいっ……私には子供が必要なの!!」
その音で、自分がハクの手を拒んだのだと知った。
私、今……ハクに……ハクを拒んだの?
嫌って……触らないでって……今のは私の声よね?
「あ……わ……た!?」
ハクからそむけていた顔を上げた。
金の眼は、私を見ていなかった。
ハクは払われた自分の右手を見ていた。
綺麗な爪を持つ長い指。
陶器のようなきめ細かい白い肌を持つ甲に、うっすらと赤い筋が2本。
血は出てないけれど……。
あ……さっき、私の爪が!?
「ハクちゃっ……ごめ……な……わ、私が……」
私に傷つけられた手から視線を動かさず、ハクは呟くように言った。
いつもはっきりと物事を口にする彼らしくないそれは。
初めて聞く小さな声だった。
「りこは……子が欲しいのか……そんなにも、必要なのか?」
必要?
子供が必要?
「あ……わ、わたっ……しは!」
子供は。
血は。
愛しい貴方を私に縛り付けるための。
永遠の鎖。
私が死んだ後も。
ハク。
貴方を私から逃がしたりしない。
私は、貴方を離さない。
貴方は蜜月期だから、子供がすごく欲しいから……だから私を……私とっ……。
「我がりこを孕ませる事は無い。何度身体を繋げても、どんなに深く交わろうとも」
子供がいれば。
「子はできん」
私がいなくなった後。
「や……やめてよ。なんで貴方までっ……!」
子供は私が貴方を愛したと……貴方が‘りこ’を愛してくれた証になるって思ってた。
りことハクが、愛し合ってたと。
「りこ、りこよ。何故、そのような顔をする?」
子供がいれば、その子がまた命を繋いで……。
そうすれば。
長い時間を生きる貴方が私のことを、忘れたりしない……忘れることができないって。
遺された血が、ずっと貴方を私に……。
「泣くな、りこ。そのように泣かないでくれ、悲しまないでくれ。我がそばにいるだろう? 子などいなくとも、我がずっとりこといる。りこには我が……」
「嫌!」
ハクは長身を屈め、私を覗き込むようにして真珠色の爪を持つ指先をゆっくりと私の顔へと……その右手を、私は両手で払い落とした。
音がするほど強く払っていた。
「私に触らないで! 私は子供が欲しいっ……私には子供が必要なの!!」
その音で、自分がハクの手を拒んだのだと知った。
私、今……ハクに……ハクを拒んだの?
嫌って……触らないでって……今のは私の声よね?
「あ……わ……た!?」
ハクからそむけていた顔を上げた。
金の眼は、私を見ていなかった。
ハクは払われた自分の右手を見ていた。
綺麗な爪を持つ長い指。
陶器のようなきめ細かい白い肌を持つ甲に、うっすらと赤い筋が2本。
血は出てないけれど……。
あ……さっき、私の爪が!?
「ハクちゃっ……ごめ……な……わ、私が……」
私に傷つけられた手から視線を動かさず、ハクは呟くように言った。
いつもはっきりと物事を口にする彼らしくないそれは。
初めて聞く小さな声だった。
「りこは……子が欲しいのか……そんなにも、必要なのか?」
必要?
子供が必要?
「あ……わ、わたっ……しは!」
子供は。
血は。
愛しい貴方を私に縛り付けるための。
永遠の鎖。
私が死んだ後も。
ハク。
貴方を私から逃がしたりしない。
私は、貴方を離さない。