四竜帝の大陸【青の大陸編】
「私が死んだ後だって、他の人に渡したくないっ。ハクが他の誰かを愛するなんて、嫌なの……許せないっ」

心の隅に溜まって……日々増していった真っ黒な想いは、一度流れ出したら止められなかった。

「ハクは私になんでもくれるって、世界だってくれるって言ったよね……あれは嘘なの? 誰にでも……今までの恋人にも言ってたの?」
 
こんな言い方、したくないのに。
 
「なによ、なによ……貴方のあの言葉はなんなのよ…嘘吐きっ、ハクの嘘吐き!」

貴方を責めるような、こんな……っ!

「嘘じゃないならなら……貴方を私に、全部ちょうだいよっ!!」

ああ、私って。
最悪。
最低。 
 
ハク。
ごめんなさい。
私。
綺麗に別れてあげるには、貴方が好き過ぎたの。 

「りこ」
 
貴方の声。
初めて聞いた時、とってもびっくりしたっけ。
可愛いちび竜の貴方の姿からは、全く想像できない‘声‘だったから。

まだ。
名前、呼んでくれるの?
りこって名前、あんまり好きじゃなかったけれど。

貴方のおかげで、好きになった。
大好きになれた。

「子が欲しかったのは、必要だったのは」

大好きで、愛してるのに。
愛していたから。

私は。
子供という鎖で貴方を繋いで。

「我を捕らえるためか?」

貴方を永遠に……<りこ>という檻に閉じ込めようとしていたの。

「……そうよ」

私の愛し方、間違ってるんでしょう?
愛ってもっと、綺麗なものなんでしょう?

どうして私の愛は、こんななの?
想像してた……憧れてた‘愛’と、ぜんぜん違う。

「そうよっ! わ……私は、貴方の子供を利用しようとしてたのよ!」
 
私は。
貴方が欲しかったの。

「最低でしょう?」

今の貴方も、私のいない未来の貴方も。

「……軽蔑したよね?」

貴方を、独り占めしたかった。

「は……あはははっ。私って、嫌な女でしょう?」

ばれちゃった。

「つがい……もう、くび決定だね」

もう誤魔化せない。

「私から貴方の竜珠……取り返したいよね?」

酷い女だって、貴方にばれちゃった。
 
貴方とあたたかい家庭を作りたかった。
ハクに寂しい思いをさせたくなかった。
大好きな貴方の、赤ちゃんが産みたかった。
本当に……この気持ちは、嘘なんかじゃないの。

好きな人の赤ちゃんが、貴方の子を産みたかった……。



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