四竜帝の大陸【青の大陸編】
じゃ……邪魔?
貴方は【家族】を必要としていない。 
望んで……ない。

「りこが我の子を産み、母になったら……りこは子を愛してしまうのだろう? そうなったら我はどうなるのだ……どうしたらいいのだ? 我はりこしか愛せぬのに、りこは他の者も愛するのか? それとも子だけを愛し、我を捨てるのか!?」

他の者?
自分の子供を‘他の者’と言う貴方。

「幸いにも、人間のりこに我の子は産めぬ。……我はそれがとても、とても嬉しい。貴女が竜でなくて、本当に良かった……我のつがいが人間で良かった。りこも我がおれば子などいらぬのだろう? ああ、もっと早く言ってくれれば良かったのだ」

貴方の心。
私の想い。
 
「我はいらぬ心配をしてしまったな。りこもこの世界の女と同じかと思っておったが、違うのだな……りこが異界人で良かった。りこの望みは、我と同じなのだな? あぁ、カイユの言った通りだ。我とりこは‘似ている‘のだ」

ハク。
私と貴方は確かに、似ているのかもしれない。
でも、でもね。
私は貴方の子供を愛せる……愛したかった。

「りこの愛は、我だけに……」

あぁ……この人は。
この人は子供を愛さない。

愛せない。

もし、竜族と人間に子供ができたとしたら。
私とハクの子供を、貴方は排除したかもしれない。
<処分>してしまうのかもしれない。
躊躇うことなど、一切無く。

自分の血を引く子供を。
私達の子供を。
私の前で、小さな命を踏み潰す。

「ハ……ク。あな……たは」

竜帝さんも言っていた。
貴方は‘違う’んだって。

竜族とも、四竜帝とも‘違う’小さな白い竜。

貴方は独り。
今までも、これからも。
ずっと、独りきり。

「りこ……りこ。我は何でもする、何でも手に入れてみせる。我の子を産ませてやること以外なら」

私が側に居ても、どんなに愛しても。
貴方の心が完全に満たされることは、ないのかもしれない。

永遠に孤独なまま。
自分が孤独だということにさえ、気がつけない……寂しく悲しい貴方。 
  
それは、なんて悲しい事実。

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