四竜帝の大陸【青の大陸編】
温室の床に毛足の長い暖かな絨毯を敷き、ローテーブルの前に正座をして手紙を書いている。

セシーさんへ出したお手紙が添削されて戻ってきたので、もう一書き直して……それと一緒に封に入れる新しい手紙の下書きも、今日中に終わらせる予定だった。

前回の内容はお世話になったことへのお礼と、お別れの挨拶ができなかったことへの謝罪。
それと近況報告。

元気で暮らしていること、初めて街に出かけた時の事も書いた。
ハクちゃんとの結婚の事は、セシーさんは察してくれる気がしたので書かなかった。
彼女はハクちゃんが人型になれるのを、知っていたんだと思う。
今思うと、そうとしか思えない言動の数々が……。
ハクちゃんと毎晩一緒にお風呂に入っているのだと、私が話した時のあのセシーさんの表情……。

「……うっ」

あの顔、絶対誤解してるよぉ!
うう、恥ずかしいっ。

頬が火照ってきたのを感じ、どきどきする心臓を落ち着かせるために視線を便箋からガラスの向こうに移した。
温室の外は銀世界。
春を告げる花が現れ、<花鎖>のお祭りが1週間前に行われたんだけど……う~ん。

私的にはまだまだ春じゃないんだけど。
日本の立春だって実際は真冬だから、それと似た感覚なのかな?
はっきり言って、私から見ればまだまだ帝都は真冬だ。
朝晩どころか、日中だって外は氷点下だし。

「まずは、セシーさんへのお手紙を直さないと。次はミー・メイちゃんで……」

新しい手紙には<花鎖>のダンスの事とかも、書こうと思う。
あと、春になったら大陸を移ることも。

前回はまだ色々決まってなかったからそのことには触れなかったけれど、もうだいたいの日程が決まったようだっだし……私は意見を言える立場じゃないし知識も無いので、移動の事はハクちゃんと四竜帝さん達におまかせしちゃってるのだ。

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