四竜帝の大陸【青の大陸編】
セイフォンに行くことを父様に報告するため、騎士団本部のある北棟に向かった。
 団長である私が留守の間、他の竜騎士を野放しにはできない。
 ダルフェなら彼等を押えられるけれど、あれは妊娠中の私からは離れられない。

 特に。
 パスとオフは、まだ幼い。
 幼いからこそ陛下の優しさを……甘さを敏感に感じ取り、好き勝手に行動する恐れがある。

 父様にお願いしよう。
 父様は幼竜だろうと容赦はしない。
 留守を任せるのには適任だ。

 ヒンは駄目。
 あの子達に甘いから。

 予算。
 増えたから……父様は喜んでくれるだろうか?
 それとも。
 私がセイフォンに行くことに、反対するだろうか?


 帝都の短かい夏が終わり、城の木々は秋の準備を始めていた。
 一ヶ月ほどで紅葉は盛りを迎えるだろう。
 そして冬が来る。
 帝都の冬は長く、厳しい。

 でも。
 私は好き。
 冬は。
 母様が好きだった季節。

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