四竜帝の大陸【青の大陸編】
 ーー私、冬が1番好きなの。だって、カイユが産まれた季節だもん。カイユの眼は、晴れた冬の空みたい、私の大好きな色! カイユ、カイユ……私の可愛いお姫様!

 
 竜族にしては珍しいく小柄で、折れそうなほど華奢で。
 幼竜である私の方が、背が高かった。

 雪の玉を作り、待ち合わせに遅刻した父様に投げつけて。
 中に石を仕込むのがポイントなのよ、と言い。
 大きな声で、笑った。

 無邪気で……まるで、幼い少女のような人。

 竜騎士である私や父様と違い、穏やか優しい普通の竜族だった。
 私のように刀を振るう事もなく、拳で他者を殴り飛ばす事も出来ない人だった。
 だから。
 人間などに、狩られてしまった。

 珠狩り。

 ここ数年、また発生しはじめた。

 今度こそ、奴等を仕留めてみせる。

 母様を殺したあいつは、つがいである父様の獲物。
 この手でずたずたに引き裂きたいけれど。
 殺さぬ程度で、我慢しなければ。






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