四竜帝の大陸【青の大陸編】
陛下が考えていた通り【餌】の効果は絶大で、俺達が姫さんをセイフォンから帝都へと連れて行った後は諸国の刺客が皇太子に群がっていた。
だが、あの国には<魔女>が……セシー・ミリ・グウィディス将軍閣下がいる。

あの女は人間にしておくには惜しいほど強いし、頭も切れる。
皇太子を守りつつ、陛下の思っていた……それ以上の成果をあげていた。

成果。
皇太子の命を狙う者……<監視者のつがい>の後見人の座を欲するような、身のほど知らずな輩のリスト。

それと。
捕らえた術士からの【情報】。
どっちかっていうと、こっちのほうが価値がある。
裏の世界に生きる術士の持つかもしれない【情報】が、今の竜族には必要だ。

先月、陛下は姫さんの大陸移動の件を後見人である皇太子に告げた。
皇太子は姫さんが移動する前に、会いたいと望んだ。
陛下は了承し、籠を手配してやりこいつ等をシャイタンまで運んでやった。

表向きバイロイトがセイフォンからの仕事請け、旅客課のやつを派遣……シャイタンの城までの契約だった。
そこで2日過ごす間に、魔女閣下が手傷を負った。
予想外だった。
予想外の……幸運だ。

皇太子の暗殺がいつまでも成功しないことに痺れを切らせた連中が、子飼い以外の術士も使い出したんだろう。

<監視者>を怒らせたペルドリヌは教主と上層部の術士達を失い、内乱状態。
姫さんに取り入る為の情報が欲しいと帝都に間者を送り込んでも、かたっぱしから‘行方不明’で成果ゼロ。

そういったことから<監視者>とそのつがいには、今は近づかない方が良いだろうと各国は考えたんだろう。
だから出来る事に……皇太子暗殺にさらに力が入るって訳だ。

今回は明らかに今までとはレベルが違う術士が、刺客として送られてきている。

<監視者>のつがいの後見人という【餌】は、俺等の探していたモノを闇から引き出し始めていた。


  


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