四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハニーが片付けたのは3人。
残ったのは<星持ち>であろうの術士と、武人が1人。
「銀髪の雌……あの<カイユ>か! <青の竜帝>の側近中の側近だ。大陸最高位の竜騎士だぞ!? どうする……ひくか?」
人間にしちゃあ大柄で、厚い外套を着込んでいる武人の顔は蒼白だった。
でかい体と黄ばんだ歯が見世物小屋の子猿みたいに震えてんのは、寒さのせいなんかじゃないだろう。
「ひく? 残念だが、それは無理だ。<カイユ>を竜帝が寄越したって事は‘皆殺し‘って意味だぞ? ちっ……昔から竜帝はセイフォンを贔屓してるって話は有名だが、ここまでとはな」
背中の曲がった術士は、かなり高齢のようだった。
赤紫に染め、金細工が縫い付けられた悪趣味な毛皮を身に着けた術士はしわがれた声で言った。
「どの道死ぬなら、やるしかあるまい。低俗な大蜥蜴共は術式が使えん。私が押さえている間に首を落とせ。……赤い髪の雄も<青の竜騎士>だ。外套の間から、青い騎士服が見えとるからな。いいか? 竜騎士は再生能力がそこらにいる竜族とは,桁違いだぞ? 一気に首をとらんとまずい。2匹同時に【檻】に入れるから、手早く始末しろ。無駄口を叩くな……竜は耳が良い」
この老人は、竜騎士に詳しいんだなぁ。
竜騎士は竜帝陛下の親衛隊っつうか、近衛っていうか……そういった認識の方が、この大陸では強いってのに。
俺らの本職が汚れ仕事だってのを、ちゃんと分かってる。
この術士はそれだけ『知っている術士』ってことか。
「その通りだよ、爺さん。で、さっさとしてくれるかい? 俺らもうすぐランチタイムだからさぁ~」
フードに隠れて老人の表情は見えない。
見えるのは、皴だらけで病的に白い手から生まれる微かに青い光の霧。
瞬き1回の時間で、俺とカイユは青白い霧が作った三角柱の中に居た。
「爺さん、なかなかだねぇ」
まあまあ。
だがクロムウェル以下。
術の‘輝き’が違う。
厚みはあるが、造りが粗い。
術士の技量は経験じゃ無い。
生まれ持った才能が全てだ。
この爺さんなりに努力してここまできたんだろうが、あのドM術士以下なんて……哀れなもんだな。
「でもねぇ。これじゃ普通の竜騎士は足止めできても、残念ながら俺達にはちいっと役不足だねぇ」
ハニーは大人しく【檻】に入ってる。
理由は簡単。
手加減が苦手だから。
自分では【檻】を壊す時に、術士も一緒に壊してしまうと分かってるから動かない。
「簡単単純なんだよ、術式を破るなんてのは。それ以上の<力>で、叩き潰せばいいだけなんだよ?」
術士の持つ術力と、俺の腕力。
より強い方が勝つだけだ。
残ったのは<星持ち>であろうの術士と、武人が1人。
「銀髪の雌……あの<カイユ>か! <青の竜帝>の側近中の側近だ。大陸最高位の竜騎士だぞ!? どうする……ひくか?」
人間にしちゃあ大柄で、厚い外套を着込んでいる武人の顔は蒼白だった。
でかい体と黄ばんだ歯が見世物小屋の子猿みたいに震えてんのは、寒さのせいなんかじゃないだろう。
「ひく? 残念だが、それは無理だ。<カイユ>を竜帝が寄越したって事は‘皆殺し‘って意味だぞ? ちっ……昔から竜帝はセイフォンを贔屓してるって話は有名だが、ここまでとはな」
背中の曲がった術士は、かなり高齢のようだった。
赤紫に染め、金細工が縫い付けられた悪趣味な毛皮を身に着けた術士はしわがれた声で言った。
「どの道死ぬなら、やるしかあるまい。低俗な大蜥蜴共は術式が使えん。私が押さえている間に首を落とせ。……赤い髪の雄も<青の竜騎士>だ。外套の間から、青い騎士服が見えとるからな。いいか? 竜騎士は再生能力がそこらにいる竜族とは,桁違いだぞ? 一気に首をとらんとまずい。2匹同時に【檻】に入れるから、手早く始末しろ。無駄口を叩くな……竜は耳が良い」
この老人は、竜騎士に詳しいんだなぁ。
竜騎士は竜帝陛下の親衛隊っつうか、近衛っていうか……そういった認識の方が、この大陸では強いってのに。
俺らの本職が汚れ仕事だってのを、ちゃんと分かってる。
この術士はそれだけ『知っている術士』ってことか。
「その通りだよ、爺さん。で、さっさとしてくれるかい? 俺らもうすぐランチタイムだからさぁ~」
フードに隠れて老人の表情は見えない。
見えるのは、皴だらけで病的に白い手から生まれる微かに青い光の霧。
瞬き1回の時間で、俺とカイユは青白い霧が作った三角柱の中に居た。
「爺さん、なかなかだねぇ」
まあまあ。
だがクロムウェル以下。
術の‘輝き’が違う。
厚みはあるが、造りが粗い。
術士の技量は経験じゃ無い。
生まれ持った才能が全てだ。
この爺さんなりに努力してここまできたんだろうが、あのドM術士以下なんて……哀れなもんだな。
「でもねぇ。これじゃ普通の竜騎士は足止めできても、残念ながら俺達にはちいっと役不足だねぇ」
ハニーは大人しく【檻】に入ってる。
理由は簡単。
手加減が苦手だから。
自分では【檻】を壊す時に、術士も一緒に壊してしまうと分かってるから動かない。
「簡単単純なんだよ、術式を破るなんてのは。それ以上の<力>で、叩き潰せばいいだけなんだよ?」
術士の持つ術力と、俺の腕力。
より強い方が勝つだけだ。