四竜帝の大陸【青の大陸編】
うう~、まとまらない!
落ち着け、私!

『カイユの主、誰? なぜ私を帝都へ? 』

私の言葉にダルフェさんの秀麗な顔が歪んだ。

『は? 今更……いや、もしや』

ダルフェさんはハクちゃんに迫った。
ぎゃー、顔が怖い!
絶対に怒ってる~!

『旦那、何も言ってなかったんですか! 何も教えてやらなかったんですか! あんたの大事な伴侶でしょうが!なんで……』

何かいいかけたダルフェさんが急に黙った。
ハクちゃんと、念話で会話しているみたい。
私に聞かせたくないってこと?

『分かりました。旦那の気持ちも理解できるが賛同はできませんね。こっちはこっちで動くことにしますよ。手遅れになる前に。……姫さん』

わわ!?
ダルフェさんが私に深々と下げた。

『旦那が使えない奴だと知っていたのに確認を怠った俺の失態だ。すまなかった』
『ダ……ダルフェ?』

さらりとひどい事を言ってるし。

『俺とハニーの主は青の竜帝だ。旦那から聞いてると思っていた』

え?

『<監視者>の‘つがい‘を帝都で‘人間から守る‘ために保護下に置く』

人間から……守る?

『これが【四竜帝】……全ての竜帝の判断だ。なぁ、これが人間・竜族にとって最良の案だと俺も思っている。姫さんが人間側についたら世界のパワーバランスが崩れる。俺達竜族は姫さんを政治に利用したりしない。だから一緒に帝都へ……』

竜族……俺達?
俺達って!?
 
『檻に入れる気か』

私とダルフェさんの間に、ハクちゃんがふわりと浮きながら言った。

『我はりこの自由を望む。りこの自由を奪おうとするなら竜帝だろうと許さん』
『そんなつもりはない! ただ、姫さんを人間の権力争いから隔離を』
『ならば人間を滅ぼす……竜族も潰す! この世界には我とりこだけでよっ……ぐがっ!?』

最後まで言わせるかっ!
この超危険思考ちび竜め!

「そういうこと、堂々と発言しないの! まるで悪役みたいだよ?」

私はハクちゃんの胴を両手で掴み、頭を下にしてぶんぶん振った。

「悪い子ハクちゃんにはお仕置き! しかも私に教えてくれなかったこといっぱいあるでしょうが! わっ……わ、私にはハクちゃんしかいないのに!貴方だ……けなのにっ」

うう、我慢できない!
泣いちゃう、溢れちゃう!

「り、りこ。ちょ、まて、り……」
「どうしてよ! どういうことよ! 権力争い? バランス? ダルフェさんは竜族? 竜帝が私を保護? 人間を滅ぼす? なんでそんな怖いこと言うのよぉ」

 頭の中がぐちゃぐちゃ・どろどろだよ。
 だって、だって!
 気づいたの。
 分かっちゃったのよ!

「わ、私の存在は人間にも竜族にも迷惑なんでしょ! 私がいるとハクちゃんが……」

 心臓の音が頭をガツンガツン叩く。

「私が……ハクちゃんを世界の敵にしてしまうのっ!?」
 

 
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