四竜帝の大陸【青の大陸編】
翌日のお茶の時間の話題は、贈り物のことだった。

「ダルフェとカイユは、お互いに何を選んだの? あ、もしかしてその簪!?」
「ええ、私はダルフェにこの簪をもらったんです」

それは綺麗な銀髪を引き立てる、鮮やかな色の紅珊瑚の簪。
丸い珊瑚の珠が幾つも連なっていて、カイユさんの動きに合わせて揺れていた。

カイユさんの肩に乗ったジリ君が珊瑚の珠に触りたくて、短くて小さな手を一生懸命伸ばしている姿はなんとも言えぬ可愛さだった。

「で、俺はハニーの愛がたっぷり入った拳をもらったの。モノだけが、贈り物じゃないからねぇ~。要は愛よ、愛!」

カップに琥珀色のお茶を注ぎながら、ダルフェさんは目じりを数倍増しで下げた満面の笑みで言った。

拳?
こ、拳ですか……確かにダルフェさんにとっては、最高のプレゼントかもしれませんね……。

「え~っと、ハクちゃんは私に、これをくれたんです」

私はシルクのスカーフで包んでいたかけらのチェーンを、ダルフェさんとカイユさんに見せた。

それを見た2人は目を見開き、数秒間固まった。
あ、あれ?
しかもダルフェさんの眉間に縦皺が2本現れましたよ!?

「お……おい姫さん。それって、まさか」
「はい、ハクちゃんのかけらです。ハクちゃんが、これを作ってくれたんです。真珠みたいで綺麗だから、とりあえずネックレスをを作ってみようかと思って。あと、ブレスレッドとか……とにかく、この長~いままじゃまずい……じゃなくて、困るんです」
「これ、元々は旦那の一部なんだろう? つまり、自分自身で姫さんに首輪と手枷かよ……うへ~っ、おっかないねぇ。どんだけ独占欲丸出しなんだかなぁ」

向かいのソファーに腰を下ろしたダルフェさんの頭の上に、ジリ君はカイユさんの肩からぴょんっと飛び移り赤い髪の中に潜った。

ちょこんと出したお顔を私の隣に座るハクちゃんに向け、緑の瞳を細めてじーっとハクちゃんを見た。

「首輪と手枷? ……かっ、考えすぎです」
「そうっすかねぇ~、旦那ぁ」

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