四竜帝の大陸【青の大陸編】
「我は」

私の頬に、優しく触れる貴方の唇。
私だけに与えられる、淡い微笑。

魔王様の微笑みは。
きっと、天使の微笑み以上に魅惑的。

「我は。りこの望むままに」

白皙の美貌に見惚れている間に。
膝にのせられ、引き寄せられた。
  
「ハクちゃん?」

左耳を熱い舌で弄られ、食まれて。
頭の中まで舐められてるかのような感覚に、震えが走る。

「ハ……っ、ぁ!」

冷たい手が。
当然のように。

遠慮の欠片もなく。
私の肌を這う。

こんな時だけ器用な指先で、貴方は私の羞恥心すら散らしてしまう。

「だ、だめっ……だって私っ……ハクちゃんっ」 

私だけを食む、その唇で。
 
「だめ? 我にりこの‘嘘’は通じない」

私を暴く、その指先で。
 
「今、すぐに。ここで」

ここで……淹れたてのお茶が香る、この居間で?

オレンジの。

柑橘の香りは、あの人の顔を私の脳内に浮かべてしまうのに。
 
「貴女を、りこの身体も心も我で埋め尽くそう。それがりこの望みだろう?」

大きな手が私の髪を梳き、カイユさんのお土産の髪留めを外した。

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