四竜帝の大陸【青の大陸編】
「りこ、我のりこ。他の男のことなど考えるな。我は拗ねてしまい、ついセイフォンごと皇太子を消してしまうやもしれんぞ?」
「やっ、ちがっ……そんなんじゃないの、分かってるクセに……意地悪言わないでっ! も、もう喋ら、ないでっ」

……いつも、思うんだけど。

なんで?
なんでこんな状態でも、この人は普通に喋れるんだろう?

「ハク、お……願っ……明か……を、消し……てっ」

私と同じ金の眼を持つ顔に、小刻みに震える両手をゆっくり伸ばしたら。
ハクが大きな手を私の手に添えて、白く滑らかな頬にしっかりと導いてくれた。

自分から引き寄せなくても、ハクの顔が真珠色の髪と一緒に私の元へと来てくれた。

「好……き」

想いを込めて。
深く……深く、口付けた。

キスの仕方は。
貴方が教えてくれた。

「……真っ暗に……して」

私の心みたいに。
暗く、暗く。

「我は貴女の望みのままに」

でも、きっと大丈夫。

「それにな」

貴方のくれた、この金の眼は。
どんな暗闇だろうと。
私の貴方を見失うことは無いのだから。

「我はこの通り‘抱っこ‘が大好きなので、明日の抱っこは大歓迎なのだ」

抱っこ……抱っこ?

ハクちゃん。
確かに抱っこに近いですけど。
これは‘抱っこ‘じゃないと思うよ?
 


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