四竜帝の大陸【青の大陸編】
酷いのはセレスティスさんでしょう!?

「父が苦しんでるを知っているのに。おいていかれるのが、どんなに辛いか……私には分るのに」

カイユ……。

「父様に、生きていて欲しい」

ーー生きていて欲しい。

「カイ……ユ」

その言葉。
セレスティスさんに、お父さんに言ってないんでしょう?

言えなかったんでしょう?

お父さんを、愛してるから。
苦しめたくないから。

私がハクちゃんに言えないように。
カイユも、お父さんに言えなかったんでしょう?

「私、酷い……娘なん……です」
 
ミー・メイちゃんに預けるつもりの、私が両親に書いた手紙に使ったその言葉を。
貴女から、聞くなんて。

私達、血は繋がってないけれど。
やっぱり、どこかで繋がっている。
不思議なほどに。

「私はっ……」

詰まった言葉。
カイユの唇が、微かに震えていた。
 
「カイユ……泣いていいんだよ?」

カイユ。
この世界で私を待っていてくれた、綺麗で強い竜族の母様。

「駄目です。私は父のことで泣いてはいけない。母を失ったあの日、父と約束しました」
「カイユ……」

はっきりとした、迷いの感じられない強い口調。
なのに、その顔は鏡に向けられていて私を見ない。


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