四竜帝の大陸【青の大陸編】
最後に入ってきたのはダルフェさん。

軍服のような騎士の制服を着た彼が後ろ手で扉を閉め、その前に立った。
いまさらだけど。
彼の、彼等<青の竜騎士>の制服の色は竜帝さん……<青の竜帝>の髪と瞳の色なんだと思った。

こちらを向いて立っている彼は私の視線に気づくと、にこりと笑って右手を顔の高さまで挙げた。
ひらひらと私に振ったその手は、白い手袋をしていた。

私の側に立つカイユさんを見て、端整な顔がにっこり微笑んで……目じりが下がった。
カイユさんが騎士服から私服に着替えてきたことに、その意味に。
彼は気がついてくれたんだと思う。

ダルフェさんは鮮やかな緑の瞳を細めたままを、視線を庭に向けた。
何を見てるのか気になって、私もつられるように外を見た。

暦の上では春になったとはいえ、緑の芽吹きにはもうちょっと時間がかかりそうな木々。

雲が全く見当たらない今日の空は、1人だけ腰掛けた私の後ろに立っているカイユさんの瞳と同じ色だった。

冬の空。
お母さんが亡くなったのは今日のように良く晴れた冬の日のことだったと、私の髪を結いながらカイユさんが言っていた。

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