四竜帝の大陸【青の大陸編】
「ああ、そうだ。俺……じゃなくて僕、しばらく帝都に帰らないから後はよろしくね」
王子様に戻ったセレスティスは何事も無かったように俺の足から踵をどかし、制服のポケットから手袋を取り出した。
仕事中しかそれをつけない俺と違って、この人は手袋をしていない時の方が珍しい。
つまり。
この青の竜騎士は、いつだって臨戦態勢……殺る気満々ってことだ。
「帝都を出るんすか?」
あの時は反対にそれをしまった。
セイフォンの皇太子が目の前にいるのに、だ。
だから本当に手を出す気が無いのだと解った。
それは竜騎士なら確認する必要の無い合図(サイン)。
今後、この人はもう。
あの皇太子には手を出さない。
『結果』に、満足したからだ。
生きる辛さを。
生かされる辛さを、知っているから。
誰よりも。
「それ、初耳なんですけど。どこに行くんですか?」
「クソバ……前陛下の息子の所に行って来る。さぁ~て、荷物作らなきゃ……鞄どこにしまったっけ? ああ、ここじゃなくて家の方か」
「舅殿、先代の息子って……?」
息子がいたのか。
子供が残ってて当たり前だが……。
セレスティスは俺に背を向け、手袋をした右手でベットの上に置いてあった刀を掴んだ。
それを腰に戻しながら俺へと顔を振り返り、小首を傾げながら言った。
「あれ、意外だね。君、知らなかったの?」
「興味も必要性もなかったんすよ」
ハニーにそっくりな端整な顔に、いたずらっこのような笑みが浮かんだ。
「ふふっ、メリルーシェ支店長のバイロイトだよ」
「え?」
バイロイト。
あのお節介狸親父かっ!
王子様に戻ったセレスティスは何事も無かったように俺の足から踵をどかし、制服のポケットから手袋を取り出した。
仕事中しかそれをつけない俺と違って、この人は手袋をしていない時の方が珍しい。
つまり。
この青の竜騎士は、いつだって臨戦態勢……殺る気満々ってことだ。
「帝都を出るんすか?」
あの時は反対にそれをしまった。
セイフォンの皇太子が目の前にいるのに、だ。
だから本当に手を出す気が無いのだと解った。
それは竜騎士なら確認する必要の無い合図(サイン)。
今後、この人はもう。
あの皇太子には手を出さない。
『結果』に、満足したからだ。
生きる辛さを。
生かされる辛さを、知っているから。
誰よりも。
「それ、初耳なんですけど。どこに行くんですか?」
「クソバ……前陛下の息子の所に行って来る。さぁ~て、荷物作らなきゃ……鞄どこにしまったっけ? ああ、ここじゃなくて家の方か」
「舅殿、先代の息子って……?」
息子がいたのか。
子供が残ってて当たり前だが……。
セレスティスは俺に背を向け、手袋をした右手でベットの上に置いてあった刀を掴んだ。
それを腰に戻しながら俺へと顔を振り返り、小首を傾げながら言った。
「あれ、意外だね。君、知らなかったの?」
「興味も必要性もなかったんすよ」
ハニーにそっくりな端整な顔に、いたずらっこのような笑みが浮かんだ。
「ふふっ、メリルーシェ支店長のバイロイトだよ」
「え?」
バイロイト。
あのお節介狸親父かっ!