四竜帝の大陸【青の大陸編】
「邪術を練成した特定の術士が、竜の長寿や強化能力を得るために珠狩りしているのだろうと考えられていた。けどね……ずっと被害は数十年に数件だったのに、最近は全大陸で多くの被害者が出ている」

それが今では全大陸に広まった。
その点が、おかしいんだ。

人間は海を越えて他大陸に移動できない。
大陸間移動が可能なのは、渡り鳥などの野生動物と竜族だけだ。
なのに何故、手の付けられない疫病のように珠狩りが世界中に広まったんだろうか?

「多分、奴は今までは自分の延命のために、単独で珠狩りをしていたんだと思う」

カイユの母親・ミルミラを殺し竜珠を奪ったのはセイフォンの元王宮術士だ。

「世界中で珠狩りの被害が急激に増えたのは、ミルミラが殺された後だ。導師は邪術を伝授することに成功したのを確認し、次々と珠狩りの術を信者……弟子共に授け、竜珠を集めだした」

珠狩りが可能な術士は、導師だけじゃないってことだ。

「今までは陛下だって、<監視者>の力を借りずに竜族だけで解決しようと努力してきた。でも、正直ここまで被害が拡大したら僕達竜騎士だけでは、対処できる限界をとっくに越えている」
「悔しいことですがね、後手後手にならざる得ないですよ」

竜族は個体数が少ないうえ、術士と互角以上で戦える『竜騎士』は年々数が減っている。
全体の出生数自体が下降の一途なのだから、当然の結果だ。

「けどね、君達がセイフォンに行っている間に事情が変わってね。陛下も他の四竜帝も、<監視者>……<ヴェルヴァイド>をこの件に関わらせようとしたんだ」

普通の竜族は人間よりは強いが、術士には敵わない。
このペースで狩られていけば、人間の乱獲により絶滅させられた他の生物と同じ末路だ。 
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