四竜帝の大陸【青の大陸編】
後は飛び散ったトマトソースの掃除をした。
カイユさんが食器を洗ってくれてる間に、私が床・ハクちゃんが天井を拭いた。
ハクちゃんは飛べるから天井もささっとお掃除できて、思っていたより早く掃除は終わった。

この白いドレスで床掃除はまずいと思い、先に着替えようと思ったんだけど……ハクちゃんが珍しいことを言った……言ってくれたので、着替えるのはやめた。

---そのままが良い。その衣装、我は気に入った。我のりこに、とても似合うのだ。
 
小さなお手々に雑巾をぎゅっと握ったかわゆいおちび竜は、金の眼をくるんと回してそう言った。
大好きな人にそんなふうに言われたら、ずっと着ていたくなっちゃうというか……。

と、いうことで。
今日はこの豪華衣装で過ごすことに決めました。
ハクちゃんは掃除終了後、着替えてくると寝室にふわふわ飛んで入っていった。

う~ん、ちょっと凹んでるみたい。
くるくる練習……今夜からするのかな?
よし、私も特訓にとことん付き合ってあげましょう!

「トリィ様、こちらは終わりましたから居間でお茶を……あら? ヴェルヴァイド様は?」
「ハクちゃんは着替えに……あ! カイユ、お願いがあるのっ」
「はい、なんなりと仰ってくださいませ」
「私、セシーさんに会いたいの」

セシーさんは温室には来れなかった。
ハクちゃんの処分対象者じゃなかったから。
だからまだ、会えていない。

「……トリィ様。何故あの女にお会いになりたいのですか? カイユはあれが嫌いです」
「セイフォンでとってもお世話になったのに、挨拶もしないで帝都に来ちゃったから……今度は引越し前に、ちゃんとお礼とさよならを言いたいの」

私は彼女に会いたい……お礼はもちろんだけど、聞きたいこともある。
怪我をしたっていってたから、お見舞いもしたいし……。
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