四竜帝の大陸【青の大陸編】
95
「……っ」
ミー・メイちゃんのお人形さんのような可愛らしい顔は、私の顔を見た途端。
全てのパーツがくしゃりと中央に集まった。
「トリィ様! 私、お話したいことがっ」
腰掛けていたソファーから立ち上がり、私の方へと駆け寄ってきた彼女に答えたのは。
「下がれ、王宮術士」
木製のドアを開け、先に室内に入ったカイユさんだった。
伸ばされた左手を遮ったのは、煌めく銀の光。
「この子に近寄るな……手をひけ。さもないと、落とす」
多くの人を傷つけ命を奪いながら、カイユさんを守ってくれた刀。
ヒンデリンさんが私に剥き身の刀を見せたことを叱ったカイユさんが、私の前で躊躇い無く刀を抜いた。
「あ……なぜです!? カイユ殿、私はこの方を傷つけたりしませんっ!」
温室で会った時と同じ灰色の長衣の美少女は、自分の胸の前で両手をあわせてぎゅっと握るようにして言った。
「あの女もそう言った」
カイユさんの声は冷たく、硬かった。
「あ……あの女?」
なんのことか分からず、戸惑う少女にカイユさんは言った。
「あの女も。私と父にそう言って母を私達から……父から奪った。人間の言うことなど、私も父も二度と信じない」
「カイユ殿、貴女は……」
よろりと数歩後ろに下がったミー・メイちゃんとカイユさんの間に、ふわりと青い影が現れた。
ミー・メイちゃんのお人形さんのような可愛らしい顔は、私の顔を見た途端。
全てのパーツがくしゃりと中央に集まった。
「トリィ様! 私、お話したいことがっ」
腰掛けていたソファーから立ち上がり、私の方へと駆け寄ってきた彼女に答えたのは。
「下がれ、王宮術士」
木製のドアを開け、先に室内に入ったカイユさんだった。
伸ばされた左手を遮ったのは、煌めく銀の光。
「この子に近寄るな……手をひけ。さもないと、落とす」
多くの人を傷つけ命を奪いながら、カイユさんを守ってくれた刀。
ヒンデリンさんが私に剥き身の刀を見せたことを叱ったカイユさんが、私の前で躊躇い無く刀を抜いた。
「あ……なぜです!? カイユ殿、私はこの方を傷つけたりしませんっ!」
温室で会った時と同じ灰色の長衣の美少女は、自分の胸の前で両手をあわせてぎゅっと握るようにして言った。
「あの女もそう言った」
カイユさんの声は冷たく、硬かった。
「あ……あの女?」
なんのことか分からず、戸惑う少女にカイユさんは言った。
「あの女も。私と父にそう言って母を私達から……父から奪った。人間の言うことなど、私も父も二度と信じない」
「カイユ殿、貴女は……」
よろりと数歩後ろに下がったミー・メイちゃんとカイユさんの間に、ふわりと青い影が現れた。