四竜帝の大陸【青の大陸編】
「ミー・メイ、向かいの部屋で帰国準備をしていらっしゃるダルド殿下のところにいてちょうだい」
何かを探ろうと……見つけようとするかのようにカイユさんをじっと見ていたミー・メイちゃんは、セシーさんの言葉にすぐに反応した。
「閣下? なぜです!? 嫌です、私はトリィ様に……カイユ殿の仰っていたことも気になっ…」
「お黙り! 竜帝陛下の御前で、これ以上セイフォンの恥をさらすな!」
容赦無い一喝に、灰色の長衣が揺れた。
「あ……か、閣下……も、もうしわけ……ご……ざ…」
小さな声が愛らしい口元からもれた。
その声は震えていて、語尾が散って消えていく。
「ねぇ、ミー・メイ」
真っ青になってしまった彼女に、声音をいつのものに戻したセシーさんが語りかけた。
「殿下にも言ったけれど、知らないほうが良いことも世の中にはあるの。知り過ぎたら、戻れない……貴女には、私とこの方の会話を聞かせたくない。貴女を私のようには、したくないのよ」
車椅子から腕を伸ばし、ミー・メイちゃんの右手に自分のそれを重ねる。
「閣下……」
セシーさんは、微笑んだ。
綺麗な笑みなのに、隠せぬ悲しみがそのふくよかな唇から滲むような……私の胸まで痛くなるような、悲しい微笑み。
「おいき、ミー・メイ。私とトリィ様のお話が終わったら呼ぶわ」
「はい、閣下」
でも、セシーさんの眼は。
両手を胸で交差させ、片膝をついて深々と頭をさげたミー・メイちゃんを見る紅茶色の瞳は。
とても優しいものだった。
何かを探ろうと……見つけようとするかのようにカイユさんをじっと見ていたミー・メイちゃんは、セシーさんの言葉にすぐに反応した。
「閣下? なぜです!? 嫌です、私はトリィ様に……カイユ殿の仰っていたことも気になっ…」
「お黙り! 竜帝陛下の御前で、これ以上セイフォンの恥をさらすな!」
容赦無い一喝に、灰色の長衣が揺れた。
「あ……か、閣下……も、もうしわけ……ご……ざ…」
小さな声が愛らしい口元からもれた。
その声は震えていて、語尾が散って消えていく。
「ねぇ、ミー・メイ」
真っ青になってしまった彼女に、声音をいつのものに戻したセシーさんが語りかけた。
「殿下にも言ったけれど、知らないほうが良いことも世の中にはあるの。知り過ぎたら、戻れない……貴女には、私とこの方の会話を聞かせたくない。貴女を私のようには、したくないのよ」
車椅子から腕を伸ばし、ミー・メイちゃんの右手に自分のそれを重ねる。
「閣下……」
セシーさんは、微笑んだ。
綺麗な笑みなのに、隠せぬ悲しみがそのふくよかな唇から滲むような……私の胸まで痛くなるような、悲しい微笑み。
「おいき、ミー・メイ。私とトリィ様のお話が終わったら呼ぶわ」
「はい、閣下」
でも、セシーさんの眼は。
両手を胸で交差させ、片膝をついて深々と頭をさげたミー・メイちゃんを見る紅茶色の瞳は。
とても優しいものだった。