四竜帝の大陸【青の大陸編】
彼女らしくなく口ごもる様子から、魔女の記憶がセシーさんに告げる過去があまり良いものではないのだと想像できた。
先代魔女のことだけでなく、魔女以外にもハクと関わった人達がいて。
その人達は……。
「セシーさん」
意識せず、自然と。
「私、幸せです」
笑顔で、言えた。
あの人のことを想いながら、『幸せ』という言葉を口にしたら。
心の中に、愛しい気持ちが満ち溢れてくる。
「ハクが……あの人が私の幸せだと思っています」
私が笑えるのは、ハクが居てくれるから。
ハクの居る世界に、生きているから。
もし、元の世界に帰ったら。
あの人の居ない世界では、私はもう……きっと、笑えない。
「そうですか。……今の貴女には、その金の瞳がよくお似合いですわ」
「ありがとうございます、セシーさん」
ハクと同じこの目を。
ハクがくれたこの色を。
似合うって言ってもらえて、本当に嬉しかった。
彼との結婚を、セシーさんなりに祝福してくれたことがその言葉から伝わってきた。
「おい、おちび。ここから行け」
セシーさんの胸から脱出した竜帝さんが、テラスへのガラス戸を開けてくれた。
締め切っていた室内に、温度の違う空気がふわりと流れ込んでくる。
「はい。竜帝さん、ありがとう」
私はそこから庭へと降り、白いガゼボへと歩いた。
数歩歩いて振り返ると、ソファーの背もたれにちょこんと座ってこちらを見ている青い瞳と視線が合った。
小さく頷く彼に、私も同じ動作を返した。
慣れないドレスの裾を踏まないように注意して歩きながら、空を見上げた。
見上げた空には、今ではすっかり見慣れた飛行物体。
青みがかった銀色の竜が、お城の上空を旋回するように飛んでいた。
大きな翼に長い尾……陽に輝く鱗。
その美しさに見蕩れていると、その銀色の竜はどんどん高度を上げていき、白い雲の向こうへ消えた。
先代魔女のことだけでなく、魔女以外にもハクと関わった人達がいて。
その人達は……。
「セシーさん」
意識せず、自然と。
「私、幸せです」
笑顔で、言えた。
あの人のことを想いながら、『幸せ』という言葉を口にしたら。
心の中に、愛しい気持ちが満ち溢れてくる。
「ハクが……あの人が私の幸せだと思っています」
私が笑えるのは、ハクが居てくれるから。
ハクの居る世界に、生きているから。
もし、元の世界に帰ったら。
あの人の居ない世界では、私はもう……きっと、笑えない。
「そうですか。……今の貴女には、その金の瞳がよくお似合いですわ」
「ありがとうございます、セシーさん」
ハクと同じこの目を。
ハクがくれたこの色を。
似合うって言ってもらえて、本当に嬉しかった。
彼との結婚を、セシーさんなりに祝福してくれたことがその言葉から伝わってきた。
「おい、おちび。ここから行け」
セシーさんの胸から脱出した竜帝さんが、テラスへのガラス戸を開けてくれた。
締め切っていた室内に、温度の違う空気がふわりと流れ込んでくる。
「はい。竜帝さん、ありがとう」
私はそこから庭へと降り、白いガゼボへと歩いた。
数歩歩いて振り返ると、ソファーの背もたれにちょこんと座ってこちらを見ている青い瞳と視線が合った。
小さく頷く彼に、私も同じ動作を返した。
慣れないドレスの裾を踏まないように注意して歩きながら、空を見上げた。
見上げた空には、今ではすっかり見慣れた飛行物体。
青みがかった銀色の竜が、お城の上空を旋回するように飛んでいた。
大きな翼に長い尾……陽に輝く鱗。
その美しさに見蕩れていると、その銀色の竜はどんどん高度を上げていき、白い雲の向こうへ消えた。