四竜帝の大陸【青の大陸編】
「りこ」
貴方の声。
それは深くて重くて、身体の奥の奥まで染み入るような……。
陽が、暗くなった。
日がかげったんじゃなくて。
「話は済んだようだな」
ハクが私の前に立っていた。
私の傍にハクが居る。
居てくれる。
それだけで、ぼやけていた私の意識がはっきりとしたものへ戻る。
「ハ……ク」
見上げる私と。
見下ろす貴方。
「……なぜ地に座っているのだ?」
ちょっと首をかしげるその姿は、冷たい美貌とのギャップがあって微笑ましい。
「あ……え? あ、ううん! な、なんでもないの、その、ちょっと……そう、芝生の座り心地を確認してたのよ! 今度ここで、皆でピクニックしようかな~なんてっ」
「……」
黄金の瞳が芝生を数秒間じ~っと見て、ゆっくりと瞬きを3回。
我ながらなんて下手くそな誤魔化しかと思ったけれど、ハクはそれ以上何も言わなかった。
ドレスを掃いながら立ち上がる私の様子を、無言で眺めていた。
「お迎えに来てくれてありがとう、ハクちゃん」
ハクは白いレカサの上に、頬まである立襟の外套を羽織っていた。
丈は彼の踝まで隠すほど長く、装飾の一切無い漆黒のそれを真珠色の長い髪が柔らかな曲線を描きながら流れていた。
「ハクちゃん、ハク。貴方に会いたかった……」
ハクちゃんの胴に両手を回し、ぎゅっと力を込めた。
贅肉なんかとは無縁の体は、服の上からでも分かるほど硬い。
その硬さが、心地よかった。
「りこ?」
「……私、ちょっとだけ寒いの」
嘘。
身体は寒くなんかない。
心が、冷えたの。
「……りこ」
こうすると。
とっても、安心できる。
貴方の声。
それは深くて重くて、身体の奥の奥まで染み入るような……。
陽が、暗くなった。
日がかげったんじゃなくて。
「話は済んだようだな」
ハクが私の前に立っていた。
私の傍にハクが居る。
居てくれる。
それだけで、ぼやけていた私の意識がはっきりとしたものへ戻る。
「ハ……ク」
見上げる私と。
見下ろす貴方。
「……なぜ地に座っているのだ?」
ちょっと首をかしげるその姿は、冷たい美貌とのギャップがあって微笑ましい。
「あ……え? あ、ううん! な、なんでもないの、その、ちょっと……そう、芝生の座り心地を確認してたのよ! 今度ここで、皆でピクニックしようかな~なんてっ」
「……」
黄金の瞳が芝生を数秒間じ~っと見て、ゆっくりと瞬きを3回。
我ながらなんて下手くそな誤魔化しかと思ったけれど、ハクはそれ以上何も言わなかった。
ドレスを掃いながら立ち上がる私の様子を、無言で眺めていた。
「お迎えに来てくれてありがとう、ハクちゃん」
ハクは白いレカサの上に、頬まである立襟の外套を羽織っていた。
丈は彼の踝まで隠すほど長く、装飾の一切無い漆黒のそれを真珠色の長い髪が柔らかな曲線を描きながら流れていた。
「ハクちゃん、ハク。貴方に会いたかった……」
ハクちゃんの胴に両手を回し、ぎゅっと力を込めた。
贅肉なんかとは無縁の体は、服の上からでも分かるほど硬い。
その硬さが、心地よかった。
「りこ?」
「……私、ちょっとだけ寒いの」
嘘。
身体は寒くなんかない。
心が、冷えたの。
「……りこ」
こうすると。
とっても、安心できる。