四竜帝の大陸【青の大陸編】
「ヴェルヴァイド様、今のは? ……トリィ様」
硬い表情のカイユさんが、私を見た。
カイユさんの問いにハクちゃんは無反応だった。
視線すら、動かなかった。
彼がこういう時は、カイユさんが何度訊いても『無理』だとこの数ヶ月の生活でカイユさんも私もよく分かっている。
カイユさんが答えて欲しくても。
ハクちゃんは答えない。
彼に悪気がないのは、カイユさんも分かってくれている。
悪気も無いけど、返事しようという意欲も皆無。
だから、私が訊かないと!
「ハクちゃん、答えて。今のどういう意味? どうかしたの?」
「……」
白い額にかかる真珠色の髪を大きな手でかき上げて、黄金の眼を露にしてハクちゃんは言った。
「……意味は無意味。“どう”も無い」
その視線は、私を見ている。
透明感の無い、黄金の瞳。
「……ハクちゃん?」
「我にとっては」
ハクの金の眼の中には、確かに私がいるのに。
「りこ。貴女以外、無意味なのだから」
「ハク……」
今。
彼が見ているのは。
目の前に居る私だけ……では、ないような気がした。
硬い表情のカイユさんが、私を見た。
カイユさんの問いにハクちゃんは無反応だった。
視線すら、動かなかった。
彼がこういう時は、カイユさんが何度訊いても『無理』だとこの数ヶ月の生活でカイユさんも私もよく分かっている。
カイユさんが答えて欲しくても。
ハクちゃんは答えない。
彼に悪気がないのは、カイユさんも分かってくれている。
悪気も無いけど、返事しようという意欲も皆無。
だから、私が訊かないと!
「ハクちゃん、答えて。今のどういう意味? どうかしたの?」
「……」
白い額にかかる真珠色の髪を大きな手でかき上げて、黄金の眼を露にしてハクちゃんは言った。
「……意味は無意味。“どう”も無い」
その視線は、私を見ている。
透明感の無い、黄金の瞳。
「……ハクちゃん?」
「我にとっては」
ハクの金の眼の中には、確かに私がいるのに。
「りこ。貴女以外、無意味なのだから」
「ハク……」
今。
彼が見ているのは。
目の前に居る私だけ……では、ないような気がした。