四竜帝の大陸【青の大陸編】
「はぁ~全く……陛下、さっきから実は第二皇女の件で脳内大混乱でしょう? なんか痛々しい域に到達してますよ? 金勘定は得意でも色恋ネタは苦手ですもんねぇ~」
ダルフェは床石にめり込んだ顔面をあげ、右の小指を耳の穴に突っ込みながら言った。
「あ~あ、鼓膜がいかれちまった。ま、すぐ治るからいいけどね……え~っと、昆布と藻の件ですが、数日前にわかめサラダを姫さんが美味そうに食ってるのを見て、旦那は海草に興味持ったんです。で、海草の本を読んでる途中で……海草がマイブーム? 的な? 昆布は料理の素材にも出汁にもなる優秀な食材で、藻は腹の足しにもならないって感じです。分かりましたか?」
「……ダルフェ」
<青>は目を閉じ、額を押さえながら答えた。
「俺様、菓子は作るけど料理はしねぇからいまいち分からん。簡潔に頼む」
「旦那の評価がクロムウェル>第二皇女ってことです」
「最初からそう言えよ……専門の解説員が必要な例えなんかやめろ、ヴェル!」
「いつから俺が旦那専門解説員に就任したんすか? ま、手当て増えんならいいですけど……カイユ?」
カイユの足が、ダルフェの背から床へと移動した。
その足先を名残惜しげに目で追いながら、ダルフェが起き上がった。
立ち上がると制服の裾をはらい、カイユの横に立った。
「ヴェルヴァイド様。トリィ様はその藻皇女が転移でスキッテルの店から去ったと、そう仰っていました。藻レベルの術士では、転移は不可能なはずです」
「確かに、それって変だよなぁ~。さっすがハニー!」
転移といっても。
店外へ移動しただけだが。
「低レベルの術士が、転移なんて高等なことをやったわけか……まさかっ!?」
あの程度のことなら。
術士であるなら、それなりの代償を払う覚悟があるならば可能だ。
金銭的にも肉体的にも、な。
「その女、魔薬(ハイドラッガー)を使ったのかっ!?」
「ダルフェ? なに言って……」
この様子では、カイユはそれに関しての知識はないな。
ダルフェは……当然ながら、知っている。
<赤の竜騎士>であったダルフェは、それを知っている。
ダルフェの言葉に、<青>が目を見開いて我を見た。
「魔薬だって!? そんな、馬鹿なっ」
魔薬(ハイドラッガー)。
それは<黒の大陸>で軍事目的に開発された。
術士の能力を強化、向上させる薬物だ。
ダルフェは床石にめり込んだ顔面をあげ、右の小指を耳の穴に突っ込みながら言った。
「あ~あ、鼓膜がいかれちまった。ま、すぐ治るからいいけどね……え~っと、昆布と藻の件ですが、数日前にわかめサラダを姫さんが美味そうに食ってるのを見て、旦那は海草に興味持ったんです。で、海草の本を読んでる途中で……海草がマイブーム? 的な? 昆布は料理の素材にも出汁にもなる優秀な食材で、藻は腹の足しにもならないって感じです。分かりましたか?」
「……ダルフェ」
<青>は目を閉じ、額を押さえながら答えた。
「俺様、菓子は作るけど料理はしねぇからいまいち分からん。簡潔に頼む」
「旦那の評価がクロムウェル>第二皇女ってことです」
「最初からそう言えよ……専門の解説員が必要な例えなんかやめろ、ヴェル!」
「いつから俺が旦那専門解説員に就任したんすか? ま、手当て増えんならいいですけど……カイユ?」
カイユの足が、ダルフェの背から床へと移動した。
その足先を名残惜しげに目で追いながら、ダルフェが起き上がった。
立ち上がると制服の裾をはらい、カイユの横に立った。
「ヴェルヴァイド様。トリィ様はその藻皇女が転移でスキッテルの店から去ったと、そう仰っていました。藻レベルの術士では、転移は不可能なはずです」
「確かに、それって変だよなぁ~。さっすがハニー!」
転移といっても。
店外へ移動しただけだが。
「低レベルの術士が、転移なんて高等なことをやったわけか……まさかっ!?」
あの程度のことなら。
術士であるなら、それなりの代償を払う覚悟があるならば可能だ。
金銭的にも肉体的にも、な。
「その女、魔薬(ハイドラッガー)を使ったのかっ!?」
「ダルフェ? なに言って……」
この様子では、カイユはそれに関しての知識はないな。
ダルフェは……当然ながら、知っている。
<赤の竜騎士>であったダルフェは、それを知っている。
ダルフェの言葉に、<青>が目を見開いて我を見た。
「魔薬だって!? そんな、馬鹿なっ」
魔薬(ハイドラッガー)。
それは<黒の大陸>で軍事目的に開発された。
術士の能力を強化、向上させる薬物だ。