四竜帝の大陸【青の大陸編】
「あのね、陛下ぁ……生ゴミとして回収されたなんて、そんなわけねぇでしょうが。手足と頭がくっついて、姫さん探しに行ったんじゃないんすかぁ?」
<青の竜帝>としてじゃなく、旦那の事が絡んでくると小さな子供のようで……その愚かさが、逆に愛らしくさえ感じてしまう。
「おちびを探しに!? じじいは自分で転移先が分からねぇって言ったんだろう!? 当てずっぽうで探すってのか!? しかも一人で!? 俺達と協力して効率よくやろうってっ考え、じじいの頭ん中にねぇのかよ!?」
「あると思います?」
わざとそう訊いた俺の問いには、当然の答えが返された。
「思わねぇ!」
「でしょう。ねぇ、ハニー。君の意見は?」
カイユは水色の瞳で俺と陛下を交互に見て、ため息をつきながら言った。
「はぁ……なぜ分からないのかしら? ヴェルヴァイド様は南棟にいらっしゃるはずよ」
「え? なんでだよ、カイユ?」
「は? どうしてハニーはそう思うんだ?」
なぜそう言い切れるのか分からず、俺と陛下は顔を見合わせた。
そんな俺達に苦笑しつつ、カイユは答えた。
「私は竜族の雌で、妻で母親だからよ」
「……そっか」
妙に説得力のある言葉に、俺は思わずうなずき。
陛下は首をかしげた。
「そういうもんなのか?」
困惑したような顔で訊く陛下に、カイユはきっぱりはっきり言った。
「そういうものです。さぁ、行きましょう」
南棟へと躊躇いゼロで歩き出したカイユの後を、陛下と俺は3歩離れてついていった。
俺と並んで歩く陛下の瞳の中で、前を歩くカイユの銀髪が輝いていた。
視線に気づいた陛下が、俺を見上げて微笑んだ。
「カイユって、すげぇよな。あのな、ダルフェ。カイユとつがいになるのは自分だって、餓鬼の頃は思ってたんだ。今思うと、うぬぼれっていうか勘違い野郎だったつーか……はは、やっぱ俺様なんかじゃカイユは駄目だ……ダルフェがカイユのつがいで良かった。本当に、良かった」
「陛下……俺は」
吸い込まれるような深い青の瞳に映る俺の顔は。
「俺、赤の大陸に戻ります」
陛下の柔らかな微笑みとは対照的に。
「うん……そうか。<赤>によろしくな」
不出来な人形のような、硬い表情をしていた。
「はい、<青の竜帝>陛下」
青い瞳の持ち主は俺のこの顔を目にしているのに、気づいているのに。
その微笑みは変わらない。
俺はそれに感謝し心の中で膝を折り、頭を垂れた。
<青の竜帝>としてじゃなく、旦那の事が絡んでくると小さな子供のようで……その愚かさが、逆に愛らしくさえ感じてしまう。
「おちびを探しに!? じじいは自分で転移先が分からねぇって言ったんだろう!? 当てずっぽうで探すってのか!? しかも一人で!? 俺達と協力して効率よくやろうってっ考え、じじいの頭ん中にねぇのかよ!?」
「あると思います?」
わざとそう訊いた俺の問いには、当然の答えが返された。
「思わねぇ!」
「でしょう。ねぇ、ハニー。君の意見は?」
カイユは水色の瞳で俺と陛下を交互に見て、ため息をつきながら言った。
「はぁ……なぜ分からないのかしら? ヴェルヴァイド様は南棟にいらっしゃるはずよ」
「え? なんでだよ、カイユ?」
「は? どうしてハニーはそう思うんだ?」
なぜそう言い切れるのか分からず、俺と陛下は顔を見合わせた。
そんな俺達に苦笑しつつ、カイユは答えた。
「私は竜族の雌で、妻で母親だからよ」
「……そっか」
妙に説得力のある言葉に、俺は思わずうなずき。
陛下は首をかしげた。
「そういうもんなのか?」
困惑したような顔で訊く陛下に、カイユはきっぱりはっきり言った。
「そういうものです。さぁ、行きましょう」
南棟へと躊躇いゼロで歩き出したカイユの後を、陛下と俺は3歩離れてついていった。
俺と並んで歩く陛下の瞳の中で、前を歩くカイユの銀髪が輝いていた。
視線に気づいた陛下が、俺を見上げて微笑んだ。
「カイユって、すげぇよな。あのな、ダルフェ。カイユとつがいになるのは自分だって、餓鬼の頃は思ってたんだ。今思うと、うぬぼれっていうか勘違い野郎だったつーか……はは、やっぱ俺様なんかじゃカイユは駄目だ……ダルフェがカイユのつがいで良かった。本当に、良かった」
「陛下……俺は」
吸い込まれるような深い青の瞳に映る俺の顔は。
「俺、赤の大陸に戻ります」
陛下の柔らかな微笑みとは対照的に。
「うん……そうか。<赤>によろしくな」
不出来な人形のような、硬い表情をしていた。
「はい、<青の竜帝>陛下」
青い瞳の持ち主は俺のこの顔を目にしているのに、気づいているのに。
その微笑みは変わらない。
俺はそれに感謝し心の中で膝を折り、頭を垂れた。