四竜帝の大陸【青の大陸編】
108
あれから5日が経った。
未だにどの大陸からも、姫さんを見つけたという報告は無い。
「ねぇねの……ぎゅぎゅっ!」
床一面を覆う切り裂かれた大量の布を小さな手でかき分けるようにして、ジリギエは寝台へと近寄って行く。
「ぎゅぃ、ぎゅ。ねぇね、ねぇね?」
幼生体の特徴である細長い胴を揺らし、まるで泳ぐかのように……ジリギエは旦那の居る寝台に上ることはせず、頭部をのけぞらせて緑の瞳をこちらに向けた。
「……ねぇね……とと、ねぇね?」
ジリギエは、日に何度も俺に問いかける。
ねぇねはどこ?
ジリのねぇねは、どこにいるの?
母親であるカイユには、それを問うことは無かった。
「ねぇねはまだ、見つからないんだよ」
ジリギエは、知っているから。
姫さん消えたあの日から、カイユは食事をとらず、一滴の水さえ口にしていないことを。
そして、眠ることを拒むようになっていることも。
「ごめんな、ジリ」
竜騎士であるカイユは1週間以上絶食し、不眠でいようと肉体的には問題無い。
だが、内面は……。
「とと……」
ジリギエは緑の目を細め、寝台から少し距離をとった。
尾を上下に激しく動かしながら布切れを掴み、両手で丸めて寝台の上へと投げつけた。
「おき、おっき! がぶうううう~っ!!」
せっせと布を拾い、小さな両手で丸めて次々と投げつける。
「おさっ、おっさん! おっさん! おっき、おっきぃいいい!!」
それは寝台の上の旦那の頭や背に当たっているが、相変わらず反応は無い。
反応したのは、俺。
「お……おっさん?」
今確かに、“おっさん”って言ったよな!?
未だにどの大陸からも、姫さんを見つけたという報告は無い。
「ねぇねの……ぎゅぎゅっ!」
床一面を覆う切り裂かれた大量の布を小さな手でかき分けるようにして、ジリギエは寝台へと近寄って行く。
「ぎゅぃ、ぎゅ。ねぇね、ねぇね?」
幼生体の特徴である細長い胴を揺らし、まるで泳ぐかのように……ジリギエは旦那の居る寝台に上ることはせず、頭部をのけぞらせて緑の瞳をこちらに向けた。
「……ねぇね……とと、ねぇね?」
ジリギエは、日に何度も俺に問いかける。
ねぇねはどこ?
ジリのねぇねは、どこにいるの?
母親であるカイユには、それを問うことは無かった。
「ねぇねはまだ、見つからないんだよ」
ジリギエは、知っているから。
姫さん消えたあの日から、カイユは食事をとらず、一滴の水さえ口にしていないことを。
そして、眠ることを拒むようになっていることも。
「ごめんな、ジリ」
竜騎士であるカイユは1週間以上絶食し、不眠でいようと肉体的には問題無い。
だが、内面は……。
「とと……」
ジリギエは緑の目を細め、寝台から少し距離をとった。
尾を上下に激しく動かしながら布切れを掴み、両手で丸めて寝台の上へと投げつけた。
「おき、おっき! がぶうううう~っ!!」
せっせと布を拾い、小さな両手で丸めて次々と投げつける。
「おさっ、おっさん! おっさん! おっき、おっきぃいいい!!」
それは寝台の上の旦那の頭や背に当たっているが、相変わらず反応は無い。
反応したのは、俺。
「お……おっさん?」
今確かに、“おっさん”って言ったよな!?