四竜帝の大陸【青の大陸編】
「父さん、その格好なんなんだよっ!?」

親父は左足を軸にしてくるっと回転してから、言った。

「あ、これ? ひよこ亭開店100周年記念に、ママがパパに作ってくれたの! すごく格好良いでしょう?」

格好良い?
そのひよこの着ぐるみ姿のどこら辺が格好良いのか?
息子である俺にも、さっぱり分からない。

「そ、そっかぁ? うん、まぁ……それよりも母さ……赤の竜帝陛下はどうしたんだよ?」
「ママ、じゃなくて陛下は最初はここに居たんだけど。さっき、竜騎士のミッ君が呼びにきて……2人で走って出て行っちゃったんだよ」

言いながら、親父はずぼっとひよこの頭部を外し床へと置いた。
現れたのは瞳と同じミルクチョコレートのような柔らかな色の髪。
耳の下で切り揃えられたその髪、きりっとした眉。
切れ長の目に薄い唇。

フライパンより万年筆、たまねぎの皮を剥くより書類をめくるほうが似合うような顔だが、首から下は黄色いひよこの着ぐるみ。
顔の作りが整っているだけに、なんかこう……うん、まぁ仕方ないか。
  
「そっか、竜騎士が呼びにねぇ……あのなぁ、父さん。大陸間通話用の大型電鏡を使う時は、余計な情報が入り込まないように部屋を暗くするんだって知ってるか?」

竜騎士が……そりゃ、緊急事態だな。
何があったんだ?
ミッ君ってのは、多分クルシェーミカのことだな。
<赤の竜騎士>って、今はあいつが団長やってるんはず……。
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